LapatinibによるT細胞分化因子への影響及びその誘導機構の解析

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タイトル別名
  • The effect of lapatinib on T cell differentiation factors and the analysis into mechanism of the induction

抄録

近年、特定のヒト白血球抗原 (HLA) のタイプが医薬品による重篤な特異体質性副作用と関連する例が明らかとなっており、分子標的薬であるLapatinibは、HLAクラスⅡに属するHLA-DRB1*07:01を保有する患者に対し、重篤な肝障害の発症リスクが上昇すると報告されている。その発症機序に関しては明らかとなっていないが、我々はこれまでにLapatinib投与により、ヘルパーT細胞であるTh2優位となる現象を見いだし、Lapatinibによる肝障害の発症機序への関与を示唆してきた。そこで、本研究ではLapatinibによるT細胞分化因子への影響とその誘導機構について解析を進めた。<br>ヒト末梢血単核球(PBMC)に対して、各種サイトカインの投与により、Th1, Th2を誘導し、Lapatinibによるリンパ球活性化の指標として培養上清中に分泌されるサイトカインを測定した。また、同様にTh1/Th2の細胞数をフローサイトメトリーにより測定した。T細胞分化因子への影響を解析するため、PBMCおよびヒト慢性骨髄性白血病由来のK562細胞にLapatinibを投与し、RTQ-PCRを用いてT細胞分化にかかわる各種転写因子のmRNA発現量を解析した。<br>PBMCおよびK562細胞に対しLapatinibを投与したところ、Th2分化に関わる転写因子GATA-3のmRNA発現量が有意に上昇した。GATA-3の誘導にはp38-NFκB経路及びIL-4-STAT6経路が重要な働きをすることが報告されていることから、Lapatinibがどの経路に影響を与えるのかp38, NFκB, STAT1, STAT6の阻害剤を加え検討を行った。その結果、p38及びNFκB阻害剤によってLapatinibにより上昇したGATA-3のmRNA発現量が有意に減少した。以上の結果から、Lapatinibはp38-NFκB経路を介してGATA-3の発現を亢進させると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525925504
  • NII論文ID
    130006582129
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_p-33
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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