ヒト肝細胞キメラマウスにおけるEpidermal Growth Factorによる肝細胞増殖亢進作用
書誌事項
- タイトル別名
-
- Transplanted human hepatocytes in chimeric mouse remain the hyperplastic response to a human hepatocyte mitogen epidermal growth factor
抄録
【目的】化学物質のヒトにおける発癌性はげっ歯類を用いたBioassayにより評価されているが、発癌作用様式によってはBioassayの結果がヒトに外挿できないケースが存在する。従って、ヒトでの発癌性を正確に評価するには、げっ歯類での作用様式を解明し、その作用様式をヒトにも適用できるか否かを調べることが重要である。我々は肝発癌作用様式のkey eventのひとつである肝細胞の増殖亢進に関し、これまではヒト初代遊離肝細胞系を用いて化学物質の影響を検討してきた。今回、in vivoでの評価系開発の一環として、ヒト肝細胞キメラマウス(PXBマウス®)にEpidermal Growth Factor(EGF)を投与し、その反応性をCD-1マウスの試験結果と比較することで、キメラマウスにおけるヒト肝細胞の増殖能を検証した。【方法】EGF(150 μg/kg BW)をキメラマウスに4回/日で2日間腹腔内投与し、肝細胞の増殖性(BrdU標識率)および遺伝子発現(DNAマイクロアレイ解析・RT-PCR)を対照群と比較解析した。さらにその結果を、先行実施したCD-1マウスの試験(EGF 150 μg/kg BW, 2回/日で2日間腹腔内投与)の結果と比較した。【結果および考察】ヒト肝細胞のBrdU標識率はEGF投与により対照群に比べて有意に増加し、対照群に対する増加量はCD-1マウスでの増加量と同程度であった。また、キメラマウスで変動した細胞増殖関連遺伝子群はCD-1マウスで変動した遺伝子の大部分を含むものであり、Ki-67、PCNA mRNA発現量は、両マウスにおいて有意な発現増加もしくは増加傾向が認められた。以上の結果から、キメラマウスにおけるヒト肝細胞はEGF刺激により細胞増殖が亢進することが判明した。加えて、ヒトでは発癌性がないと言われているPhenobarbitalでは増殖しないことも別途確認した(Toxicol Sci 142: 137-157, 2014)。従って、げっ歯類で肝発癌性を有する化学物質のヒトにおけるリスクのin vivo評価系として、本モデル動物は有用と考えられた。
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 42.1 (0), P-50-, 2015
日本毒性学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680526019072
-
- NII論文ID
- 130005483648
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可