調製液媒体の安定性の検討

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  • Investigation of stability of vehicle solution

抄録

【目的】毒性試験において、被験物質の媒体として0.5w/v%あるいは1w/v%のメチルセルロース(MC)やカルボキシメチルセルロース(CMC)はよく使用されているが、 これら単独での保存安定性の報告は少ない。そこで本検討では水溶液中でのMC及びCMCの長期冷蔵下での安定性を評価することを目的とした。<br>【材料と方法】MC(信越化学工業株式会社製、粘度15mPa-S)は0.5及び1%(w/v)、CMC(丸石製薬株式会社製)は0.5%(w/v)となるよう蒸留水を用いて調製(各n=3)した。測定は家庭用合成洗剤試験方法(JIS K3362:2008)のCMC定量法を基に簡易にできる方法に変更して実施した。調製時、冷蔵保存(4 ºC)2週間及び4週間後の測定時期毎及び測定溶液毎に吸光度の平均値、標準偏差及び相対標準偏差を求め、保存後の溶液については残存率を求めた。<br>【結果】冷蔵保存後2週間及び4週間に、MC及びCMC水溶液を測定した結果、残存率は0.5% MC水溶液では 保存後2週間で100.1%、4週間で111.7%、1%MCでは保存後2週間で101.3%、4週間で114.9%、 0.5%CMCは保存後2週間で97.0%、4週間で99.0%であった。<br>【考察】0.5%CMCにおいては4週間まで安定であった。一方、0.5%MC及び1%MCは2週間まで安定が認められたが、冷蔵4週間まで保存したところ、両濃度ともに残存率に上昇傾向がみられた。MCは分子鎖の水和が温度の上昇とともに減少することや長期保存中に溶液粘度は低下する傾向があることから、冷蔵保存での安定性はCMCより短いと考えられた。そのメカニズムの詳細は不明であるが、MCは調製後少なくとも冷蔵保存下で2週間、CMCは4週間の安定性があることが確認された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680526277888
  • NII論文ID
    130006581972
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_p-107
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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