種々ヒト由来細胞株におけるイソチアゾリノン系抗菌剤による細胞毒性の比較
書誌事項
- タイトル別名
-
- Cytotoxic effects of anticeptic isothiazolinones using human-delived cell lines
抄録
【目的】イソチアゾリノン系抗菌剤は、化粧品をはじめとして塗料、接着剤、衛生用品など様々な製品に使用されているが、近年、これら抗菌剤が直接的な作用とは別に、室内空気を介して皮膚、眼および気道への刺激を引き起こす事例が報告されている。これまでに我々は、気管支上皮細胞株をはじめとする種々ヒト由来細胞株を用いて、イソチアゾリノン系抗菌剤、2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one (OIT)の細胞毒性について比較検討をおこなってきた。本研究では、冷感効果を謳った消費者製品からも高頻度で検出されることが報告された2-methyl-4-isothiazolin-3-one (MIT)など種々のイソチアゾリノン系抗菌剤の細胞毒性について評価した。<br>【方法】ヒト由来培養細胞株として、気管支上皮細胞株 (BEAS-2B)、肺胞基底上皮腺癌細胞株 (A549)、急性単球性白血病由来細胞株 (THP-1)を用いた。これら細胞株を1×105 cells/mlの濃度で96穴プレートに播腫し、24時間後にイソチアゾリノン系抗菌剤 (0.1~5 µM)を添加した。添加後24時間後における細胞生存率をcell counting kit 8を用いて測定した。<br>【結果と考察】5種類のイソチアゾリノン系抗菌剤すべてにおいて、BEAS-2Bの細胞生存率の低下が認められた。そのEC50値は、OIT (0.7 µM) > 4,5-dichloro-2-octyl-4-isothiazolin-3-one (2CI-OIT) (1.5 µM) > 1,2-benzisothiazol-3-one (BIT) (1.7 µM) > 5-chloro-2-methyl-4-isothiazolin-3-one (Cl-MIT), MIT (> 5 µM)の順であった。また、THP-1においては、OIT、2CI-OITおよびCl-MIT処理において細胞生存率の低下が認められ、そのEC50値は、OIT (0.3 µM) > 2CI-OIT (0.7 µM) > Cl-MIT (1.9 µM)の順であった。これらイソチアゾリノン系抗菌剤による細胞生存率の低下は、N-アセチルシステイン、還元型グルタチオン存在下において有意に抑制された。一方、今回検討した濃度範囲のイソチアゾリノン系抗菌剤では、A549における細胞生存率の低下は認められなかった。以上の結果より、イソチアゾリノン系抗菌剤は、細胞種間で異なる作用を及ぼすことが明らかとなった。
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 44.1 (0), P-116-, 2017
日本毒性学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680526297088
-
- NII論文ID
- 130006582000
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可