血管内皮細胞においてカドミウムにより誘導される亜鉛輸送体ZIP8の発現調節機構

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanisms underlying induction of ZIP8 by cadmium in cultured vascular endothelial cells

抄録

【目的】カドミウムは米などの食品中に含まれる環境汚染物質であり,様々な器官に対して毒性を発揮するが,その器官毒性は特に血管内皮細胞毒性に修飾されると考えられる。我々は,細胞膜に局在する金属輸送体ZIP8が内皮細胞へのカドミウム輸送に関与することを見出している。そのためZIP8の発現に対するカドミウムの作用とそのメカニズムを明らかにすることは,カドミウムの血管内皮細胞毒性の理解に重要である。本研究の目的は,カドミウムによる血管内皮細胞のZIP8の発現誘導およびそのメカニズムを明らかにすることである。【方法】ウシ大動脈内皮細胞に塩化カドミウムを処理し,遺伝子発現は定量的RT-PCR法で,タンパク質発現はウエスタンブロット法を用いた。siRNAの導入はリポフェクション法を用いた。カドミウムの細胞内蓄積量はICP-MSにより測定した。【結果および考察】血管内皮細胞にカドミウムを曝露すると,ZIP8タンパク質の発現上昇が認められた。また,ZIP8 mRNAもカドミウムにより発現上昇した。内皮細胞におけるカドミウムによるその他のZIPファミリーの発現への作用を検討したところ,ZIP8 mRNAの発現が特に顕著に発現上昇したことから,血管内皮細胞においてZIP8はカドミウムの細胞内輸送に関わる重要な因子であることが分かった。次にZIP8転写開始点の上流にNF-κB結合配列が存在するため,カドミウムによるZIP8の発現誘導に対する関与を検討した。内皮細胞において,カドミウムは処理濃度依存的にIκBのリン酸化を増強させた。またNF-κB発現抑制細胞では,カドミウムによるZIP8の誘導が消失した。以上の結果から,内皮細胞においてカドミウムによりZIP8の発現が特異的に上昇すること,またその上昇には転写因子NF-κBが関与することが示された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680526339456
  • NII論文ID
    130006581953
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_p-135
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ