イヌにおけるピリドキシン誘発神経障害モデルの神経行動学的及び神経電気生理学的評価
書誌事項
- タイトル別名
-
- Neurobehavioral and neuroelectrophysiological evaluation on canine pyridoxine-induced neuropathy model
説明
我々のグループでは、神経毒性の評価系構築のために機能観察総合評価(FOB)及び神経電気生理学的検査(運動神経伝導検査、F波伝導検査、感覚神経伝導検査、H反射検査及び短潜時体性感覚誘発電位検査)の実施条件を検討してきた(一部を第43回日本毒性学会学術年会にて報告)。本検討では、イヌにおけるピリドキシン誘発神経障害モデルを用いて、上記検査の有用性について考察した。<br>5頭のビーグル犬にピリドキシンの150 mg/kg(3、7及び29回)及び300 mg/kg(8回)を皮下投与することで、様々な重症度の神経障害モデルを作製した。FOB及び神経電気生理学的検査終了後に動物を安楽死させ、中枢神経及び末梢神経の病理組織学的検査を実施した。<br>150 mg/kgの3回投与では、背根神経節に病理組織学的変化がみられたが、FOB及び神経電気生理学的検査において異常は認められなかった。7回投与では、背根神経節及び脊髄背索に病理組織学的変化がみられ、FOBで姿勢反応及び脊髄反射の異常が認められたものの、神経電気生理学的検査に異常は認められなかった。29回投与では、病理組織学的変化が脊髄に加えて末梢神経の神経線維まで広がり、姿勢反応及び脊髄反射の異常は悪化し、神経電気生理学的検査で感覚神経、運動神経及び体性感覚伝導路の伝導異常が認められた。これらは300 mg/kgの8回投与でさらに重症化した。<br>本検討では、病理組織学的変化に伴う機能的な変化がFOB及び神経電気生理学的検査で捉えられ、病変の程度及び範囲を反映していた。また、脊髄前角には病理組織学的な異常が認められていないにもかかわらず、神経電気生理学的検査において運動神経の神経細胞体の障害が示唆された。以上のことから、FOB及び神経電気生理学的検査が神経障害の評価に有用な検査であることが示された。
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 44.1 (0), P-230-, 2017
日本毒性学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680526848000
-
- NII論文ID
- 130006582115
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可