探索初期段階における毒性評価 ~マウス4日間反復投与毒性試験系の構築~

  • 松井 龍宣
    日本新薬株式会社 創薬研究所 安全性・動態研究部
  • 蛭田 仁
    日本新薬株式会社 創薬研究所 安全性・動態研究部
  • 柴山 寛司
    日本新薬株式会社 創薬研究所 安全性・動態研究部
  • 小寺 喬
    日本新薬株式会社 創薬研究所 安全性・動態研究部
  • 上田 誠
    日本新薬株式会社 創薬研究所 安全性・動態研究部
  • 山下 康弘
    日本新薬株式会社 創薬研究所 安全性・動態研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of toxicity in early stage of drug development: Establishment of 4-day repeated dose toxicity test system in mice

説明

【目的・背景】探索初期段階におけるin vivo毒性評価は多数の化合物を評価する必要性から、少量の被験物質で実施できること、低コストで実施できること、スループットが良いこと等、多くの制約がある一方で、高い毒性予測精度も求められる。そこで、これらの条件を満たす毒性評価実現のために、マウスを用いた4日間反復投与毒性試験系の構築に取り組み、薬剤誘発性の代表的な毒性である肝毒性、腎毒性の予測精度を検討した。【方法】6週齢のCrl:CD1(ICR)マウスを1群あたり8例 (毒性評価用動物5例、血液検査用動物3例) 設定し、一般状態観察、体重測定、血液学的検査、血液生化学的検査、病理学的検査 (剖検、器官重量、組織学的検査) を行った。毒性予測精度の検討は、肝毒性、腎毒性を有する四塩化炭素、シスプラチン及び社内化合物8物質を用い、社内化合物についてはラット2週間または4週間反復投与毒性試験のデータと比較した。【結果】肝毒性については、四塩化炭素による既知の変化が検出でき、社内化合物ではラット毒性試験データとの相関が認められた。腎毒性については、シスプラチン及び一部社内化合物で被験物質投与による変化が検出できたが、上記評価項目では十分な検出力があるとはいえなかった。【考察】構築したマウス4日間反復投与毒性試験系では、肝毒性評価は可能であると考えられた。一方で、腎毒性など一部捉えにくい変化も認められたが、ラット毒性試験データとの相関も概ね確認され、探索初期段階におけるin vivo評価として十分に機能するものと考えられた。現在、更なる試験精度の向上に取り組んでおり、毒性評価用動物と同一個体を用いた血液検査及び骨髄検査、並びにサテライト動物を用いた経時採血による血漿中薬物濃度測定について、実施・評価が可能であることを確認済みである。また、腎毒性については、尿中腎毒性マーカーの有用性を検討中である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680526851328
  • NII論文ID
    130006582029
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_p-253
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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