抗菌薬シプロフロキサシン及びアトルバスタチンの併用による横紋筋融解症マウスモデルの作出

DOI
  • 松原 明子
    名古屋大学大学院医学系研究科 統合医薬学領域 トキシコゲノミクス
  • 織田 進吾
    名古屋大学大学院医学系研究科 統合医薬学領域 トキシコゲノミクス
  • 赤井 翔
    名古屋大学大学院医学系研究科 統合医薬学領域 トキシコゲノミクス
  • 横井 毅
    名古屋大学大学院医学系研究科 統合医薬学領域 トキシコゲノミクス

書誌事項

タイトル別名
  • Establishment of a mouse model of rhabdomyolysis by combined use of ciprofloxacin and atorvastatin

抄録

【背景・目的】抗菌薬として広く用いられるシプロフロキサシン(CPFX)は副作用の少ない薬であるが、重篤な副作用の一つに横紋筋融解症が報告されており、急性腎不全を併発することもある。CPFXを服用する患者での横紋筋融解症発症はHMG-CoA還元酵素阻害薬であるスタチンとの併用が多い。しかし横紋筋融解症発症のメカニズムは未だに解明されていない。本研究ではCPFX及びアトルバスタチン(ATV)の併用による横紋筋融解症マウスモデルの作出を目的とした。<br>【方法】9週齢雌性C57BL/6Jマウスにbuthionine sulfoximine(BSO)700 mg/kgを腹腔内投与し、1時間後にATV 30または100 mg/kgを経口投与した。ATV投与30分後にCPFX 4000 mg/kgを経口投与し、これを1日1回4日間行った。最終投与24時間後に血漿、腓腹筋、肝臓、腎臓を採取した。血漿生化学的検査(CPK、AST、ALT、BUN、CRE)に加え、血漿中microRNAの発現量および腓腹筋、肝臓、腎臓におけるmRNA発現量の測定を行った。<br>【結果・考察】BSOおよびATVとCPFXを併用したマウスでは対象群と比較して血漿中のCPK値及びAST値が有意に上昇した。血漿中の筋特異的miR-206および-133bは、併用群で有意な発現上昇を認め、CPK値と相関を示した。一方、肝臓および心筋特異的なmiRNAの発現上昇は認めなかった。また、腎臓では急性腎障害のマーカーであるLipocalin 2 mRNAが併用群で有意に発現上昇していたことから、横紋筋融解症に腎障害が併発している可能性が示された。本研究はニューキノロン系抗菌薬及びスタチン系薬剤の併用による横紋筋融解症動物モデルの作出に成功した。現在このモデルの有用性についてさらなる検討を行っている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680526857728
  • NII論文ID
    130006582040
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_p-255
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ