ラット4週間反復投与毒性試験におけるL-システインとD-システインの毒性比較及びメカニズム検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Comparisons of L-cysteine and D-cysteine toxicity in 4-week repeated-dose toxicity studies of rats
説明
【目的】L-システイン(L-Cys)はラット4週間反復静脈内投与毒性試験において、腎臓における器質的な変化や貧血等の様々な毒性所見を引き起こすことが報告されている。これらの毒性発現にチオール基(SH基)が関与するという仮説を検証する一環として、SH基を持つが生体では利用されないと考えられるD-システイン(D-Cys)について、ラット4週間反復経口投与毒性試験を実施し、L-Cysと毒性所見を比較した。<br>【方法】6週齢のSD系雄性ラット(N=6)にL-Cysを500、1000及び2000 mg/kg/日の投与量で1日1回28日間反復強制経口投与した。対照群には媒体である0.5%メチルセルロース水溶液を投与した。検査項目は一般症状観察、体重、摂餌量、摂水量、尿検査、血液学的検査、血液化学的検査、解剖検査及び病理組織学的検査とした。D-Cysについても同様の方法で投与及び検査を行った。<br>【結果】病理組織学的検査の結果、L-Cysでは全ての投与群で腎臓において赤血球円柱を伴う好塩基性尿細管が認められた。D-Cysでは2000 mg/kg投与群のみで腎臓において赤血球円柱を伴う好塩基性尿細管及び髄質における結石の沈着が認められた。また、D-Cysの2000 mg/kg投与群において貧血性の変化としてヘモグロビン及びヘマトクリットの低下及び網状赤血球の増加が認められた一方で、L-Cysでは2000 mg/kg投与群において網状赤血球の増加が認められた。その他の項目ではL-及びD-Cysで毒性所見に大きな差はなかった。<br>【考察】用量依存性に若干の差が認められるもののL-CysとD-Cysの投与により腎臓や胃等の臓器に共通する病理学所見及び貧血性の変化が見られた。以上より、L-及びD-Cysで認められた毒性所見は質的には類似しており、毒性発現にSH基が関与する可能性が考えられた。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 44.1 (0), P-261-, 2017
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680526863616
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- NII論文ID
- 130006582050
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可