無眼球症スナネズミの聴性脳幹反応検査
書誌事項
- タイトル別名
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- Auditory brainstem response (ABR) tests for mongolian gerbil (meriones unguiculatus) with anophthalmia
抄録
スナネズミ(Meriones unguiculatus)は、日本で実験動物化された数少ない動物のひとつであり、脳・神経系の研究に用いられる他、放射線照射の感受性に関する研究、寄生虫感染に関する研究及び老年性、騒音性、伝音性難聴の研究などに用いられている。スナネズミの眼球発生異常については、福永らが第31回毒性病理学会学術集会(2015)で報告したが、眼球の異常と共に聴覚器の異常を伴う例がしばしば認められることから、今回無眼球症が疑われたスナネズミについて聴覚検査および聴覚器の病理組織学的検査を実施したので報告する。なお、本症例は福永らが報告した症例と同一コロニーから発生した個体である。感染実験目的のため、2012年1月に独立行政法人医薬基盤研究所から国立医薬品食品衛生研究所に分与された毛色の白色変異であるMG-W近交系スナネズミの4ペアから出発した約20箇月の自家繁殖過程において、無眼球症の産仔雄1例が認められた。通常16日齢前後に認められる開眼が認められず、眼球の発生異常が疑われたことから聴覚系の機能について聴性脳幹反応(Auditory Brainstem Response、以下ABRと略)を検査した。ABR及び病理組織学的検査は、本例に加え眼球に異常が認められず一般状態が良好な同腹の雄2例及び別腹の雄2例の4例についても実施した。本例のABR検査では、最大音圧の90 dB SPL(Sound Pressure Level)での音刺激において右耳のⅠ波のみに振幅が認められたが、左耳は無反応であった事から高度な難聴と考えられた。一方、眼球に異常のない同腹の雄2例及び別腹の雄2例の4例では聴覚閾値の上昇及び左右差が認められた。病理組織学的検査では全例において内・外の有毛細胞が明らかに障害されている組織像は認められなかった。また、ラセン神経節細胞数の減少が全例に認められたが、組織変化が難聴に関連するかどうかは明らかでなかった。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 42.1 (0), P-139-, 2015
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680527081344
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- NII論文ID
- 130005483419
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可