生ゴミ堆肥を用いて栽培したトマトの生育・収量・品質に及ぼす灌水量の影響

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タイトル別名
  • Effect of different of irrigation on the growth, yield, and fruit quality of tomato plants grown with garbage compost

抄録

【目的】食生活の多様化に伴って高品質な農産物への要求が高まっている。野菜の食味には糖や有機酸の組成と含量が大きく影響される。トマトを栽培する場合、灌水量を抑えて土壌を乾燥させると果実の糖度は上昇するが、果実は小玉化し、果実のCa欠乏症状(尻腐れ果)を起こしやすい。一方、有機物を施用すると土壌の団粒構造が発達して根毛が多く発生するので、土壌を乾燥させても根が健全に働くことから、Ca欠乏症状を少なくすると考えられる。今日では、循環型農業を推進する一環として生ゴミを堆肥化してリサイクルする取り組みが始まっている。そこで、生ゴミ堆肥を有機質肥料として施用し、灌水量を少なくしてトマトを栽培した場合の生育、収量、品質について調べた。 【材料と方法】材料はトマト(品種:ホーム桃太郎)で、有機質肥料としては、仙台市清掃公社製生ゴミ堆肥(pH8.4)にピートモス(pH4.1)を2:1に混合して用いた。定植用土壌は砂壌土に化成肥料のみを加えた対照区と、砂壌土に生ゴミ堆肥を混合した生ゴミ堆肥区を設けた。栽培は、ビニルハウス内でプランターによる根域制限栽培を行い、灌水処理区として、250(乾燥区)、500(中湿区)、750ml/株(湿潤区)の3水準を設けた。果実成分は果肉部とゼリー部に分け、糖度、有機酸含量、ビタミンC含量、Ca含量を測定した。 【結果と考察】生ゴミ堆肥区の土壌はpH7.1~7.7と高かったが、対照区と同程度に草丈が伸張した。灌水量が少ないほど1果実重は小さく、糖度、有機酸含量、ビタミンC含量が高くなったが、その傾向は生ゴミ堆肥区で顕著であった。灌水量が少ないと果肉中のCa含量が低下して尻腐れ果が発生したが、生ゴミ堆肥区では尻腐れ果の発生が少なかった。このことから、生ゴミ堆肥を用いると、尻腐れ果の発生を少なくして高品質のトマト果実を生産できることが示された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680533831424
  • NII論文ID
    130006955278
  • DOI
    10.11428/kasei.59.0.113.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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