脳内酸素代謝変化量の補正基準に関する被験者実験

書誌事項

タイトル別名
  • Subjective experiment for appropriate baseline measurement method of cerebral blood oxygenation changes

説明

目的 室内環境質が知的生産性に与える影響を調べるには、作業成績だけでなく、精神負荷等の人体反応を評価する事が重要である。精神負荷の客観的指標として、前額で測定した総ヘモグロビン濃度変化量(Δtotal Hb)が有効である可能性があり、その測定精度の向上が求められる。この値は相対値として測定されるため基準の統一が必要である。本研究では、補正基準として、濃度変化が安定する、安静の種類と課す時間を選定する事を目的として被験者実験を行った。<BR> 方法 被験者は右利きで健康な男性6名とした。人工気候室は作用温度25.0℃、50%RHに制御し、熱的中立になるよう着衣により調節させた。Δtotal Hbは近赤外線酸素モニタを用い左額で測定した。安静の種類は、「閉眼安静」、閉眼時に波音を再生した「閉眼安静+音」、開眼で一点を見つめて安静を行う「開眼安静」の3種類とし、各安静の後に、紙面上で3桁×3桁の乗算作業10分間を課し、これを3セット行った。解析対象を、安静開始直後30秒後から1分間の「前1分」、安静開始直後30秒後から4分間の「4分」、安静開始直後3分30秒後から1分間の「後1分」の3種類とし、安静時間を検討した。<BR> 結果「前1分」の解析範囲では、閉眼安静は開眼安静に比べてΔtotal Hbの標準偏差が小さい傾向があった(p<0.1)。音の有無では有意差がなかった。「4分」の解析範囲では、全安静種類において「後1分」よりΔtotal Hbの標準偏差が大きい傾向があり、閉眼安静以外では「前1分」より大きい傾向だった。「後1分」と「前1分」では有意差がなかった。総ヘモグロビン濃度変化量が安定する補正基準として、閉眼安静が適しており、課す時間は2分間で十分であると考えられる。本研究は科研費特別研究員奨励費による。

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680534060288
  • NII論文ID
    130006955501
  • DOI
    10.11428/kasei.61.0.65.0
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ