α-、γ-トコトリエノール(Toc3)とα-トコフェロール(Toc)の組織への取り込みの比較

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  • Comparison of α-,γ-tocotrienol(Toc3) and α-tocopherol(Toc) uptake by plasma and tissues

抄録

【目的】以前の研究で、長期摂取させたα-、γ-Toc3が脂肪組織や皮膚で高濃度検出された。また、α-Toc3濃度はα-Tocと同時摂取すると減少したが、γ-Toc3濃度は変化しなかった。今回はα-、γ-Toc3の体内動態を調べ、ビタミンE(VE)同族体の中で最も生体内に取り込まれやすいα-Tocの体内動態と比較することを目的とした。<br>【方法】Wistar系雄ラットをVE欠乏食で4週間飼育した後、α-Toc又はα-Toc3又はγ-Toc3 を含むエマルジョンを経口投与し、投与後0、1、3、6、24時間に解剖した。血漿(カイロミクロン、VLDL、LDL、HDL1、HDL2に分画した)、肝臓、腎臓、脾臓、腎臓周囲脂肪、褐色脂肪、皮膚を採取し、これらに含まれるVE同族体濃度を測定した。<br>【結果】肝臓、腎臓、脾臓、血漿及びカイロミクロン以外のリポタンパク質では、α-Tocは投与後24時間でも高濃度に検出されたが、α-、γ-Toc3は、一度取り込まれた後24時間までにほとんど消失した。しかし、脂肪組織や皮膚ではα-Tocと同じように投与後24時間まで高濃度に蓄積されることが確認された。また、γ-Toc3のリポタンパク質や組織への取り込みと消失の経時的変化はα-Toc3と少し異なっていた。VE同族体はα-Toc 輸送タンパク質(α-TTP)によってリポタンパク質に取り込まれ、肝臓から抹消組織へ運ばれるが、α-、γ-Toc3はα-TTPとの親和性が低いためリポタンパク質中から末梢組織中への循環は24時間以内に消失し、組織内のα-Toc3とγ-Toc3の経時的取り込みの違いから、α-TTPを介さない別の輸送経路の存在が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680535153280
  • NII論文ID
    130006956847
  • DOI
    10.11428/kasei.56.0.18.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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