軟らかい糸引納豆の開発

書誌事項

タイトル別名
  • Development of soft itohiki-natto

説明

【目的】現在わが国の糸引納豆(以下納豆と略する)は主に3社のスターターで製造されており、それらの納豆の品質には大きな差が見られない。製品の差別化を図るため我々は中国の豆豉を収集して豆豉菌を分離し、その菌を用いて糸引納豆の製造を試みた。<br>【方法】豆豉は中国雲南省昆明市付近で収集した。豆豉菌はNBP平板に30℃で生育したコロニーから純粋分離した。菌の同定は、Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology 第2巻に準拠して行った。納豆は村松らの方法を参考にして製造し、その分析と官能検査は納豆試験法に準拠して行った。また、揮発性成分の分析はキャピラリーガスクロマトグラフィー(GC)で行った。<br>【結果】収集した試料39点から82株を分離した。同定の結果、いずれの株もBacillus subtilisに属する株であった。分離菌で製造した納豆の官能検査をして、糸引納豆の製造に適した株を12株選択した。これらの菌株の最適生育温度はわが国の納豆菌のそれが41℃前後であるのに対し、豆豉菌では35℃から45℃まで分布していた。最適生育温度で製造した納豆の1つを分析するとホルモール窒素、相対粘度の値は市販納豆よりも低く、揮発性成分については納豆特有といわれる10個の成分のうち7個が検出された。硬さについては、箸でかき混ぜると豆が崩れる程軟らかいものが製造できた。官能検査の結果からも、有意に糸引きが弱く、低臭で軟らかい納豆であると評価された。以上の結果、わが国の納豆とは異なる軟らかい納豆を開発することができた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680535197056
  • NII論文ID
    130006956916
  • DOI
    10.11428/kasei.56.0.140.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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