心拍変動スペクトル解析を用いた着脱動作における身体的・精神的負担の評価

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • The physical and mental loads assessment using power spectral analysis of heart rate variability on dressing and undressing
  • The case study of a person with motor impairment
  • 運動機能に障害がある人を対象とした1症例

抄録

【目的】身体的負担を生理学的に評価する方法として、近年では心拍を測定し心拍変動スペクトル解析を行う方法が注目されている。これは身体的・精神的負担を定量化する上で有効な方法と考えられており、被服学の分野でも快適感の定量化などに用いられてきた。今後はさらに多くの分野で役立つことが期待される。そこで本研究では、着脱時に感じる負担の評価に心拍変動スペクトル解析を応用することを試みた。筆者らはすでに運動機能に障害がある人を対象に、身体的・精神的負担を定量化する方法として、時間、衣服の変形、介助者の心拍数の測定を行ってきたが、さらにそれを発展させ、心拍変動スペクトル解析を応用する可能性を探った。【方法】運動機能に障害のある男性1名を対象に、介助による着衣時の心拍数をR-R間隔で測定した。また、介助者についても同様に心拍数を測定した。R-Rデータは最大エントロピー法によるMemCalc((株)GMS,東京)を用いて、心拍変動スペクトル解析を行った。試験着は、長袖Tシャツを基本形とし、それに着脱のしやすさを改善するため修正を加えた2タイプのものの計3種類とした。【結果】本症例においては、運動機能に障害がある人の安静時のR-R間隔、LF値、HF値は健常者よりも小さいことが明らかになった。LF/HF値は健常者よりも大きかったが、着衣動作を行った直後に上昇しない例もみられた。着衣時の着やすさの官能検査結果では、着用者介助者とも修正を加えない基本形の評価は低かったが、これは基本形着衣後のLF/HF値が他に比べ高くなる傾向と一致し、本解析による評価の有効性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680535603712
  • NII論文ID
    130006957286
  • DOI
    10.11428/kasei.58.0.237.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ