膝関節注射時の疼痛緩和のための局所冷却装置の開発

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【目的】変形性膝関節症において膝関節注射は重要な保存療法で、対象となる患者数はきわめて多い。この関節注射の一番の問題点は疼痛である。程度の差はあるが、多くの患者が注射時に強い痛みを訴える。この疼痛を緩和することができれば、変形性膝関節症の保存療法を苦痛なく行うことができる。本研究は冷却による疼痛緩和効果を利用して膝関節注射時の疼痛を緩和する装置を開発することを目的とする。<BR>【対象と方法】皮膚に一定時間接触させて皮膚温度を低下させる冷却用ピースと、このピースを一定温度に冷やす冷却器を新規開発した。対象はボランティア25名で、この装置を用いて膝関節外側の通常の注射部位を一定温度で一定時間冷却し、安全性試験と疼痛試験を行った。安全性試験は温度を-10℃と-15℃に設定して冷却前と冷却後の皮膚温を経時的に計測し、皮膚の変化、痛みなどを調査した。疼痛試験は同様に冷却温度と冷却時間を設定し、疼痛刺激試験機を用いて経時的に表在痛覚を計測した。<BR>【結果と考察】結果は、-10℃では10秒間以内、-15℃以下では3秒間以内の冷却が安全であることが確認された。また、-10℃で3秒間冷却すると疼痛が有意に軽減されること判明した。新規開発した装置は正確に一定温度で局所を冷却できるため、この条件に設定することにより安全に膝関節注射の疼痛を軽減することが可能である。今後は実用化にむけて、変形性膝関節症患者を対象に本装置の臨床試験を行う予定である。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680536349440
  • NII Article ID
    130006957806
  • DOI
    10.11359/cjaost.105.0.35.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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