調理操作の違いによる農薬除去効果の比較
書誌事項
- タイトル別名
-
- Effect on removal of pesticides by preparation for food
説明
目的 農薬は,収穫量を増やすためや保存性を高めるために必要とされるが,反面,野菜の残留農薬問題を生じさせる可能性がある.本研究では市販されている野菜を使用し,水洗い処理,加熱調理などの調理操作によって残留農薬の含有量がどのように変化するかを比較検討した.<br>方法 予備実験で市販の冷凍野菜の残留農薬量は少ないという結果が得られたため,それらを実験に用いるのは適当でないと判断し,市販の冷凍野菜に有機リン系農薬を人工的に添加したものを試料とした.試料を粉砕・抽出・精製後,ガスクロマトグラフィー(検出器は炎光光度型検出器)により農薬を定量した.煮沸による方法,水に浸漬した方法,流水で洗浄した方法,洗剤で処理した方法について各々除去率を求めたが,その際,添加回収率を測定し,測定値の妥当性の検討を行った.また,解析ソフトRを使い,主成分分析を行った.<br>結果 ホウレン草の有機リン系農薬の除去率の平均値は,高いものから順に,煮沸による方法,水に浸漬した方法,流水で洗浄した方法,洗剤で処理した方法,となった.ただし,除去方法により除去されやすい農薬が異なり,高い除去率を示した農薬は,煮沸による方法では,クロルフェンビンホス,ダイアジノン,フェンチオン,ブタミホス,パラチオン,ジメチルビンホス等で,水に浸漬した方法では,クロルピリホス,パラチオン,トリクロホスメチル等で,流水で洗浄した方法では,クロルピリホス,ブタミホス等で,洗剤処理ではブタミホス等であった.主成分分析によると,除去方法は「煮沸」,「水に浸漬」,「流水で洗浄と,洗剤で処理」の3つに分類できた.除去された農薬の一部は,処理した水に移行していたが,気化や容器への吸着も考えられる.
収録刊行物
-
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
-
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 64 (0), 172-, 2012
一般社団法人 日本家政学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680536499072
-
- NII論文ID
- 130005470084
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可