コチニール染色における媒染金属使用量と発色の関係
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- 古濱 裕樹
- 神戸松蔭女大
書誌事項
- タイトル別名
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- Relation between amount of metal with mordanting and coloration in a cochineal dyeing
説明
目的 天然染料は低環境負荷で安全性も高いと一般には思われがちだが、天然色素によって堅牢な染色を行うには重金属を含めた金属イオンによる媒染が高頻度で行われている。環境負荷低減のためには発色や堅牢性を維持できる最小限の金属量で染色されることが望まれる。そこでコチニール染色における金属イオン使用量と発色及び堅牢性の関係の解明を試みた。<BR> 方法 コチニールシルバー(5%o.w.f.)から80℃の蒸留水で30分間色素抽出し染液を得た。Fe2+、Sn2+の各イオン水溶液(濃度を0.02mol/L~1×10-8mol/Lの間で倍数希釈的に14種類調製)で媒染(先媒染、浴比1:50)した平織布(毛、絹、ナイロン66)を、浴比1:50で80℃、1時間染色した。染色布は分光測色計によって分光反射率を得た。染色布の洗濯堅牢性は洗濯試験機を用いて、日光堅牢性は屋外天日照射させて、それぞれ色彩値の変化を調べた。<BR> 結果 金属イオン濃度と発色の関係では、鉄、スズともに1×10-4~5×10-5mol//Lの間に大きな色調の変化がみられた。これがカルミン酸のpHに変動に伴う色調変化ではないことはpH緩衝液を用いて確認した。1×10-4mol/L以上の濃度では色調は安定し、今回の染色条件では1×10-4mol/Lが発色に要する金属イオン最低所要濃度であった。一般的に行われる天然染料染色の金属イオン媒染濃度(1~0.1%w/w)と比較すると50~500倍以上に薄い濃度である。色素濃度や金属イオン吸着状態などについては今後検討を要するが、今回の結果から現代の一般的な金属イオン使用量は多すぎると言える。また、堅牢性は1×10-4mol/Lの濃度より高めても向上しなかった。
収録刊行物
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- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
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一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63 (0), 50-50, 2011
一般社団法人 日本家政学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680536801920
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- NII論文ID
- 130006958016
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可