緊急手術を行った頚髄硬膜外血腫の2例

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抄録

今回我々は緊急手術を行った頚髄硬膜外血腫の2例を経験したので報告する。<BR> 症例1:87歳女性。主訴は四肢麻痺。孫の手で自分の頚部を叩いていて激しい頚部痛が出現。同日夜より四肢の脱力が出現し翌日起床時より体動困難となり当科紹介受診となる。既往歴に高血圧があるが、血小板数・凝固能に問題はなく、抗血小板薬内服の既往も無かった。初診時右上肢はMMT3レベル、左上肢及び両下肢はMMT0であった。頚椎MRIにてC3-T1レベルの脊髄背側に硬膜外血腫を認めた。麻痺が高度であったため同日緊急手術(椎弓形成術・血腫除去術)を施行。術後、筋力は左上肢がMMT4レベル以外正常になり、軽介助にて T字杖歩行が可能になった。<BR> 症例2:49歳男性。主訴は頚部痛・両手のしびれ。字を書いていて突然頚部痛及び両手のしびれが出現。同日当科受診される。既往歴・検査所見に特記すべき事項はなかった。初診時頚部痛は著明で頚部可動域は伸展・屈曲ともに0度。筋力低下は認めなかったが、両肘関節以下に著明な知覚鈍麻を認めた。頚椎MRIにてC3- C5レベルの脊髄背側に硬膜外血腫を認め、一部に造影効果が認められた。知覚鈍麻が著明であり、腫瘍内出血が疑われたため同日緊急手術を施行。術後、頚部痛は軽度のみで知覚障害は軽快した。<BR> 硬膜外血腫は基本的に保存的治療が選択されるが、症例1は麻痺が高度であること、症例2は血腫内に造影効果がみられ、十分説明した上で手術が選択された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680536818816
  • NII論文ID
    130006958040
  • DOI
    10.11359/cjaost.105.0.260.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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