悪性軟部腫瘍と鑑別を要した異物肉芽腫の4例

説明

【はじめに】四肢体幹部の軟部に発生した異物肉芽腫で,外傷から長時間を経て増大してきたものは画像上,悪性軟部腫瘍との鑑別が困難である。今回われわれは,MRIにおいて悪性軟部腫瘍と鑑別を要した異物肉芽腫の4例を経験したので報告する。【症例・結果】症例は42歳から68歳までの男性4例である。4例ともに外傷もしくは手術歴があり,最長で37年,最短で4年を経過して発生してきており,術前に異物が確認できた例はなかった。MRIではいずれも大きさが10cmをこえる巨大で境界明瞭な卵円形の腫瘤像であり,またT2強調像では内部構造が不均一であった。3例においてはカ゛ト゛リニウム造影を行なったが,いずれも中心部が造影されなかった。そのため悪性軟部腫瘍との鑑別はいずれも困難であった。病理組織検査ではいずれも異物反応性の肉芽腫であった。摘出後,全例経過は良好である。【考察・結語】異物や手術材料によって形成される肉芽腫は潜伏年数や大きさにより画像の性質は様々であり,画像診断は困難であることが多い。そのため術前臨床診断に際しては,このような腫瘤像を呈する症例に対しては,詳細な既往・経過を聴取することが重要であると考えられた。しかし,異物肉芽腫が強く疑われたとしても,悪性軟部腫瘍との鑑別のため,生検による病理組織学的診断は必要であると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680536830976
  • NII論文ID
    130006958057
  • DOI
    10.11359/cjaost.105.0.270.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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