膝蓋上滑膜ひだによる膝関節障害の4例

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【目的】膝関節内の滑膜ひだは胎生期に膝関節内に存在した隔壁の遺残したもので、膝蓋内側、外側、上、下の4つに分類されている。滑膜ひだに伴う障害としては,膝蓋内側滑膜ひだが原因で生じる棚障害が最も多いが,稀にその他の滑膜ひだによる障害も報告されている。今回我々は稀な膝蓋上滑膜ひだによる障害例を4例経験したので報告する。【対象】症例は男性2例,女性2例で,平均年齢は17歳であった.全例に関節鏡を行い,確定診断を得た.【結果】全例で膝の外側部に運動時痛と圧痛を認め,1例にクリックを触知した.滑膜ひだの形態はDandyらの分類でarch型,arch+pillar型,lateral型がそれぞれ1例で断裂例を1例に認めた.全例に滑膜ひだの切除を行ったところ,術後速やかに症状は消失した.【代表症例】16歳女性,バスケットボール選手.主訴は右膝外側部痛.保存療法にて症状が改善しないため関節鏡を行った.関節鏡にてlateral型の滑膜ひだと大腿骨外顆のerosionを認めた。滑膜ひだの切除を行ったところ,症状は消失した.【考察】膝蓋上滑膜ひだ障害に関する報告は1950年のPipkinらの報告以来、本邦では6件10例,海外では3件37例と稀な疾患である.症状は外傷を契機に生じた滑膜ひだの肥厚や線維化が原因と考えられている。有用な画像所見は無く,確定診断には関節鏡が必要である.膝外側の痛みやクリックを認める症例において,稀ではあるが本疾患も鑑別疾患の一つとして念頭に置く必要があると考えられた.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680536887680
  • NII Article ID
    130006958159
  • DOI
    10.11359/cjaost.105.0.292.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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