光劣化したセルロース繊維製品のFTIR分析

書誌事項

タイトル別名
  • FTIR analysis of the photodegraded cellulose fabrics

説明

目的 反応染料で染色した麻,綿,レーヨンについてキセノンウェザーメーターで暴露試験を行い,強度低下と酸化劣化の関係について検討した.FTIR/ATR法により,セルロースの酸化状態と結晶化度の変化の評価を試み,X回折法による結果と比較した.方法 精錬漂白した麻布および綿布,糊抜きしたレーヨン布を,5種類のレマゾール染料を用いて染色した.染色後,レマフィックス(ミムラ染料㈱)を用いてフィックス処理を行った.これら試料をキセノンウェザーメーターを用いて,試験槽内を30℃,55%R.H.に設定し,最長40日間暴露した.強度について,各種試験布のタテ糸20本を試験長20mm,引張速度20mm/minでTENSILON UCT-500型引張試験機を用いて測定した.FTIR/ATR法では,NelsonとO'Connor の方法に従いCH伸縮振動の2900cm-1のピーク強度を基準として,1650cm1 (カルボニル基)および1730 cm1 (カルボキシル基)のピーク強度比率を求め,酸化状態を評価した.また,セルロースの結晶化度に対応すると言われるCH変角振動の1372 cm1のピーク強度比率を求めた.結果 キセノン光暴露後におけるカルボキシル基の増加は,レーヨンに顕著に表れた.一方,麻,綿ではその増加は少なかった.光照射によりカルボニル基が顕著に増加した試料は,強度も大きく低下したことから,セルロースの酸化が強度低下を引き起こす重要な一因であることが示唆された. FTIR法による結晶化度の変化は認められなかったが,X線回折でもこれと同じ結果であった.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680537457024
  • NII論文ID
    130005470315
  • DOI
    10.11428/kasei.66.0_14
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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