嚥下困難者のための新たな水産加工品「はんぺん」の開発
書誌事項
- タイトル別名
-
- Development of new seafood of fish minced and steamed Hanpen for person with dysphagia
抄録
【目的】はんぺんは水産伝統食品であるが、必ずしも高齢者を含めた嚥下困難者に優しい食品ではない。そこで嚥下困難者の食生活向上に寄与する目的で、消費者庁が定める「嚥下困難者用食品の規格基準」を満たす様な、新たな水産加工食品はんぺんを開発することを試みた。また、開発したはんぺんに健康増進機能性があるかどうかを、抗酸化能を指標として調べた。<br>【方法】はんぺんの原料としての魚肉は、気仙沼港で水揚げされた鮮度の高いヨシキリザメの落とし身を使用した。また、はんぺん原料の一つである自然薯は、福島県産の凍結乾燥試料を水戻しして使用した。はんぺん調製法は、ヨシキリザメ落とし身を塩摺りするかしないかで場合分けした後、定法に従った。更に、調製したはんぺんは、レオメーターを用いて、「硬さ」、「付着性」、「凝集性」を調べた。抗酸化能は、ORAC法を用い、ORAC法の手順は、定法に基づき、H(親水性)-ORAC値を求めた。単位はμmol Trolox当量(TE)/100 gで示した。<br>【結果】塩摺り無しの試料でも、塩摺り有りの試料と同様、消費者庁が定める「嚥下困難者用食品の規格基準」の「許可基準Ⅱ」を満たしていて、塩摺りを行ってはんぺんを調製することが常識であるのに対して、新知見をもたらした。一方、抗酸化能指標のH-ORAC値に関しては、塩摺り有り試料が平均99 μmol TE/100 gであり、塩摺り無し試料が平均98 μmol TE/100 gであって、両者の試料間に有意差はなかった。塩摺り無し試料で、加水の30%を「ふく魚醤」に置き換えるとH-ORAC値は、平均782 μmol TE/100 gとなり、抗酸化能は8倍に増加したが、必ずしも、嗜好性評価では、良い評価が得られなかった。
収録刊行物
-
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
-
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 66 (0), 179-, 2014
一般社団法人 日本家政学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680537490048
-
- NII論文ID
- 130005470346
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可