イギリス19世紀末から20世紀初頭にかけての主婦の装い

書誌事項

タイトル別名
  • Dress for Housewife inBritain from the end of 19th century to the early of the 20th century

説明

目的 従来の主婦論は社会学を基盤として、主婦の存在意義や役割などについての研究なされてきた。しかし、その服飾を研究対象とすることで、主婦・母親に求めた理想的な姿を検証する。家庭生活における主婦の役割が多様化している今日において、本研究は衣生活の研究を通して、次世代へ心豊かな家庭生活を提言することへの端緒として、近代に日本の家族観、家庭観に強く影響を及ぼしたイギリス社会の家庭生活、主婦像についてその服飾行動から明らかにするものである。方法 主な資料にイギリスで発行されたThe Girl’s Own Paperなどを利用する。同誌は幅広い年齢層から支持され、労働者階級から上・中・下・中産階級までをターゲットとした。19世紀末には購買数が250万部を超え、女性雑誌最大のシェアを記録した。結果 イギリス・ヴィクトリア朝の家庭において主婦とは、「召使い以外の人間で、家庭の任務のほとんどに(もしくは、これらの任務を果たす召使いの管理に)責任を持つ人間。家事を運営もしくは指弾する女、家庭の女主人、世帯主の妻」という位置づけであった。主婦の女主人としての裁量を示す行為として“At Home”すなわち在宅招待日が行われた。ヴィクトリア期の衣服行動は時間帯、場面における服装の規定が細分化されており、家庭内で着用される衣服は80年代にはhome dress, house dress, indoor dress, といった名称で出現し、90年代にはAt Home用の服飾デザインが登場する。1900年代にはhouse gownの紹介が頻出している。もてなしを司る女主人の役割はその家庭の文化度を測る指標となり、主婦の装いは教養や社交術を表明する重要な役割を果たしていると言える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680537509760
  • NII論文ID
    130005470373
  • DOI
    10.11428/kasei.66.0_152
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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