天然植物由来のアントシアニン系色素による絹布の染色

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書誌事項

タイトル別名
  • Silk fabric dyeing with anthocyanins from natural plants
  • ─染色条件による比較―
  • -Comparison of dyeing conditions-

抄録

目的 天然アントシアニン系色素を含有する植物として1年中入手可能な赤キャベツを用いて絹布を染色し,種々の染色条件による布の染色性の違いを比較検討し,媒染ならびに保存条件による染色堅牢度について調べた。方法 赤キャベツと同重量の水を混合,粉砕,ろ過して色素液を得て,pH1~13の溶液を調製した。5×5 cm²の絹布(日本規格協会,JIS染色堅牢度試験用添付白布,14目付,平面重54.6 g/m²,厚さ0.10 mm)を浸漬(浴比1:75,室温,10 min~48 h)して染色した。Na,Mg,Al,Ca,Al,Cuの各水溶液により後媒染も行った。染色後の布は明るさ,湿度,容器の大きさが異なる条件で保管し堅牢度を比較した。染色前後の布は分光式色彩計で色差を測定し,剛軟度,防しわ度,吸水性などの性質を調べた。結果 赤キャベツ色素は常温の水で簡単に抽出でき,絹布を染めることができた。染色布の色調は色素液のpHに敏感に左右され,酸性下でピンク系,中性下で紫系に染まったが,アルカリ条件ではほとんど染着しなかった。pH3の溶液での染色で,色素濃度が高くなるにしたがい,また浸漬時間が長くなるにしたがい布の色が濃くなった。6種類の金属を媒染剤として用いたところ,ピンク系,紫系,青系など様々な色に染色でき,染色堅牢度が向上した。染色布を暗所で低湿度の小さい密閉容器中で保存することにより,染色直後の色が長時間維持できることがわかった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680537743104
  • NII論文ID
    130005470416
  • DOI
    10.11428/kasei.66.0_250
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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