食品関連視覚情報により惹起される「食欲」の定量測定への試み

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タイトル別名
  • Preliminary study for measuring the inclination toward each food by verbal/visual stimulations

抄録

[目的] 食べることは、たぶんに無意識的な判断を伴う行為である。日常食べ慣れている食品は、既に好き嫌いが確立してしまっていることが多い。だが、実効的な食育を推進する上では、嫌いな食べ物が苦手でなくなるよう意識変革させ、また、新たな(未食の)食べ物を好きになるよう、食経験上の開拓を支援していくことが重要と考えられる。その観点に立ち、視覚的情報(メニュー表記やイラスト等)や観念(ブランド名)等が嗜好や食欲に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。<br>[方法] 女子大学生を被験者とし、「食べもの」や食事にまつわる視覚情報を呈示した際の、唾液分泌量及びその成分の変化を観察した。具体的には、被験者の口中に乾燥脱脂綿を含ませた後、各種の食べものの名称等を記したカード(名刺サイズ)を提示し、一定時間後に脱脂綿を回収して重量を測定した。更に、採取唾液中のアミラーゼ濃度等を、簡易分析機器を用い測定した。以上により得られたデータを、被験者の食の嗜好等に関する選択式/記述式調査の結果と照合し、「食欲」惹起の程度を定量的に評価することが可能か検討した。<br>[結果] 唾液分泌量に加え、非侵襲ストレスマーカーとして用いられる唾液アミラーゼの分泌動態も、提示された視覚情報刺激により影響を受ける場合があることが明らかとなった。唾液分泌量とアミラーゼ濃度の便宜的比率を指標とすることにより、意識下での「食べもの」の好き嫌いや、惹起される食欲を、ある程度客観的・定量的に把握できる可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680537815296
  • NII論文ID
    130005470481
  • DOI
    10.11428/kasei.66.0_34
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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