肌着用編布の洗濯耐久性

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タイトル別名
  • The washing durability of physical properties and hand evaluation of knitted fabrics for underwear

抄録

目的 肌着用編布については1986年に坂口ら[1]によって客観評価式が開発されたが、現在では従来にはなかった機能性繊維等、合成繊維を用いた薄手の肌着用編布が増加している。本研究では、2009~2010年に市販されていた肌着用編布を収集し、その物理特性を捉えるとともに、洗濯による物理特性の変化、寸法変化、熱物性の変化を測定し、それらの特性値から洗濯耐久性を明らかにすることを目的とした。 方法 2009~2010年に市販された肌着用編布52種の中から夏冬用総合評価、繊維組成がことなり、また保温性、軽さ、ストレッチ性などの機能性をうたった試料を含む12種を取り上げた。市販の家庭用洗濯機により、浴比1:20、洗濯駅0.1%で、洗い6分、すすぎ2回、脱水3分の標準コースで20回洗濯を行った。物理特性として力学特性、表面特性をKES-Fを用いて測定した。さらに熱・水分移動特性を、サーモラボ_II_を用いて測定した。肌着用編布の既存の風合い客観評価式によって各試料の基本風合い値(こし、ふくらみ、ぬめり、しゃり)と冬夏の各総合風合い値を求めた。 結果 布のウェール、コース方向ともに寸法変化は小さかった。引張仕事量は大きくなり、試料は伸びやすくなるとともに、引張レジリエンスは小さくなり、布の弾性回復性は減少する傾向が見られた。曲げ剛性、せん断ヒステリシスは増大した。先行研究より、洗濯による性能劣化の傾向として引張レジリエンスの低下、曲げヒステリシスの増加が観察されている。これらの傾向が本研究でも観察され、洗濯によって繊維間の距離が短くなり、繊維間の摩擦が増大することに起因していると考えられる。表面特性では、特に綿との混紡の試料の表面摩擦係数の平均偏差と表面凸凹の平均偏差は増大の傾向がみられた。熱・水分・空気の移動特性に関しては、洗濯後、熱損失が減少し、通気抵抗が大きくなった。見かけ密度が大きくなるため、保温性が高まると考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680538065536
  • NII論文ID
    130006958755
  • DOI
    10.11428/kasei.63.0.228.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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