光照射における天然染料によるウール染色布の変退色作用スペクトル

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タイトル別名
  • Action spectrum of fading of natural dyes on wool cloth under mono chromatic light irradiation

抄録

目的:多くの文化財を保存する博物館等で、歴史的な天然染料による染色布を可視光線や紫外線から保護する必要がある。ウール染色布に単色光を照射し、天然染料の耐光性の波長依存性を明らかにすることを本研究は目的としている。方法:ミョウバンを媒染剤に用い、ウコン、黄木、黄花といった天然染料により染色されたウールを使用した。モノクロメーターを用いて、16nmの波長ごとに単色光を試料に照射した。同じ値の照射エネルギーにおける変退色量を色差(ΔE)を用い測定した。合成染料によるアメリカ標準布L2、L4は変退色比較のために用いた。結果:天然染料であるウコンにおける変退色は、470nm付近が最も大きいということが明らかになった。また黄木の場合は400~450nm、黄花は420nm付近という結果が得られた。一方合成染料であるアメリカ標準布L2、L4は240nm~250nm付近での変退色が最も大きかった。つまり、420nm付近の可視光染領域においては天然染料における色差が最も大きく、250nm付近の紫外線領域においては合成染料における色差が最も大きいという結果が見られた。欧米において、伝統的に用いられてきた黄色染料の耐光性が充分でないことの要因の一つは、可視光線領域での感受性にあると言える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680538244608
  • NII論文ID
    130005440339
  • DOI
    10.11428/kasei.55.0_171_2
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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