明治末期の良妻賢母の装い

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タイトル別名
  • Clothing for Good Wife and Wise Mother in the end of the Meiji Era

抄録

目的:1899年の高等女学校令に賢母良妻教育が表明されたのちの、明治末期における良妻賢母思想を背景とする主婦の装いについて分析し、主婦・母親に求めた理想的な姿を検証する。家庭生活における主婦の役割が多様化している今日において、本研究は衣生活研究を通して、次世代に心豊かな家庭生活を提言するためへの端緒とする。 方法:主な一次資料には1908年創刊の雑誌『婦人世界』を取り上げる。同誌は発行の辞には読者が「良妻賢母たらんこと」を言及し、家庭における実際的な知識等を掲載した。また、1890,1900年代の一般書籍より主婦・良妻賢母への言及について調査する。 結果:封建的家父長制度のもとの貞順な妻像とは異なり、男性は社会・女性は家庭、という分業がなされ、良妻賢母とは家庭生活を取り仕切ることにあった。また、男性は生産活動、女性は消費活動と位置付ける見解も登場した。一般書籍における主婦の装いへの見解には、「本分を忘れ粉飾にのみ心を用い」ることを戒め(「新編家政学」)、「粗服にあまんじ」て家事にいそしむ姿を奨励した(「家庭の趣味」)。一方、「十人並みでも、愛と仁との神の権化らしき容貌を望む」(「女子の弱点」)や、相応の服装を整えることへの配慮が提言された。『婦人世界』においては、家庭内外での人への配慮・好印象を与える服装、身だしなみが意識され、流行の適度な採用を促す記事が掲載され、「美しく」装うこともまた良妻賢母の嗜みと掲げられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680538920320
  • NII論文ID
    130005256037
  • DOI
    10.11428/kasei.68.0_111
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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