車椅子クッションの減圧効果について
書誌事項
- タイトル別名
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- 簡易圧力測定器を用いた検討
抄録
【はじめに】車椅子クッションは座圧を分散させ、長時間座位における殿部の痛みの軽減や褥創予防を目的に使用されている。最近、形状や構造、材質ともに工夫された様々な車椅子クッションが市販されているが、それらを比較検討した報告も少なく、選択するためにカタログの情報をもとに決定せざるを得ないのが現状である。今回、我々はクッションの減圧性に注目して、簡易圧力測定器を用いて市販されているクッションによる減圧効果の違いを比較検討したので報告する。<BR>【方法】対象者は健常成人10名(男性8名、女性2名)、平均年齢32.8±9.6才、平均体重62.2±8.8kgであった。被検者を座面の高さを自在に変えられる座面昇降型手動車椅子に座ってもらい、座面の高さを適正位置に調節した。次に簡易圧力測定器(モルテン社製プレィデア)を2台使用して、それぞれのセンサー部分を左右の坐骨結節下にあて、車椅子クッションと坐骨結節間の圧力値を測定し、左右の平均値を採用した。試用したクッションはウレタン系クッション6種類、ウレタンとゲルの組み合わせ4種類、空気とウレタンの組み合わせ2種類、空気量調整式3種類、ゲル系2種類、多数のセル数調整式1種類、椅子用座布団1種類の計19種類であった。各々のクッションと坐骨結節間で圧力を比較検討と、その圧力とクッションの厚みや価格についての関連について検討した。<BR>【結果】クッションがない場合(119.3mmHg)と比べ、すべてのクッションに減圧効果が認められた。減圧効果が優れていたのは、空気量調整式のタイプ(75.2mmHg,73.9mmHg,64.7mmHg)であり、その次にウレタンとゲルの組み合わせタイプ(77.5mmHg,73.5mmHg,98.9mmHg,80.3mmHg)や空気とウレタンの組み合わせタイプ(87.1mmHg,74.3mmHg)であった。ウレタンについては低反発素材を入れたクッション(79.7mmHg)が減圧効果に優れていた。さらに、クッションの厚さと圧力との関連、及びクッションの価格と圧力については有意な相間が認められた。<BR>【考察】空気量調整式のタイプが最も減圧効果に優れていたが、空気量の違いにより減圧効果が左右されるため、空気量の調整が非常に重要である。またウレタン単独で用いるよりもゲルや空気層と組み合わせることで減圧効果が期待できると考えられる。さらに、厚みのあるクッション、及び価格が高いクッションの方が減圧効果に優れており、減圧効果の目的には、厚みのあるクッションが妥当だが、その厚みにより車椅子のアームレスト、フットレスト、バックレストの相対的な位置が変化するため、調整機能を持たない車椅子を既に使用している場合には、その厚さも限られてしまう。そのため、厚さが規定された場合は価格の高いものを選択するのが妥当かと考えられた。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), E1132-E1132, 2006
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680539184512
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- NII論文ID
- 130004579663
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可