二分脊椎症児の移動方法についての調査
Bibliographic Information
- Other Title
-
- 学童期の就学場面に着目して
Description
【目的】二分脊椎症児は学童期の学校生活において,歩行能力と身辺処理能力が支障となり,設備および介護の面で整っている養護学校へ就学することが多いとされている.歩行能力は,学校という集団生活の中で多くの移動を要することとなる.また身辺処理能力では,膀胱直腸障害による排尿・排便管理の問題が発生する.今回,歩行能力に対し学童期の就学場面での移動における問題点を把握し,就学する二分脊椎症児の指標とすることを目的に本研究を行った.<BR>【方法】対象は,普通学級に通う二分脊椎症児12名(男性5名,女性7名)平均年齢8±1.9歳.方法はアンケート調査,10m歩行速度の測定を行った.アンケート調査の内容は登下校,学内での移動,体育の時間,遠足や修学旅行などの課外授業,友達と遊びに行く際,のそれぞれの移動方法を聴取し,本人に確認ができない場合には保護者に聴取した.10m歩行速度の結果は,各障害レベルによる比較,各年齢による健常児との比較を行った.<BR>【結果】アンケート結果に関して登下校については,装具のみが47%と最も多く,学内での移動については装具のみが54%,体育の時間では装具のみが62%で最も多かった.課外授業では車椅子が50%と最も多く,遊びでは装具のみが40%と最も多かった.レベル別平均歩行速度では,第1仙椎レベルまでは障害レベルが下位になるに従い歩行速度は速くなっていたが,第2仙椎レベルにおいては第4腰椎レベルよりも低くなった.年齢別平均歩行速度では,多くの児童が健常児の平均歩行速度よりも下回っており,上回っているのは12名中1名であった.<BR>【考察】就学場面において学童期の二分脊椎症児は,長下肢装具,車椅子,歩行器,クラッチを主に利用していた.長下肢装具は屋内,屋外の各場面で多く利用されており,その理由として成長期の骨の変形防止や,装具の重さを利用して,感覚入力を股関節に促すことで歩行感覚を学習することがある.また段差などの環境因子の影響を受けることが少なく,実用的であると考えられる.10m歩行速度の測定では健常児の平均歩行速度を上回っていた者は12名中1名のみであったが,下回っていた11名も普通学級に通っていることから,歩行速度は就学場面において必要条件ではないことが考えられる.また環境設定・周囲の理解も必要であると考える.特に,環境設定ではエレベーター,洋式トイレの設置,段差の解消などにより,二分脊椎症児が普通学校においてより快活な学校生活をおくれるのではないかと考える.<BR>【まとめ】学童期二分脊椎症児における就学場面での移動方法について調査した.結果,移動方法は各場面により異なり,理学療法士として,歩行能力の改善を図ると共に個人の能力や場面に応じ装具や移動補助具を選択し,普通学級での就学に適応させることが重要である.また,環境設定や周囲の理解により個人の能力を最大限に発揮させることが必要である.
Journal
-
- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
-
Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2005 (0), E1145-E1145, 2006
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
- Tweet
Details 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680539204608
-
- NII Article ID
- 130004579676
-
- Text Lang
- ja
-
- Data Source
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- Abstract License Flag
- Disallowed