人工股関節置換術施行患者における動作と下肢機能の関係
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【目的】変形性股関節症による人工股関節置換術(以下THA)施行後の患者に対して、入退院時の股関節ROM、外転筋力、片脚起立時間、10m歩行時間、歩数、基本動作能力を調査した。基本動作の難易度や、歩行と片脚起立時間の関係について検討する。<BR>【方法】対象は、当院に2005年1月以降に入院され、8月までに退院されたTHA施行後の患者で、入退院時に理学療法評価が施行できた33例とした。これらに対して、入退院時の股関節のROM(屈曲、外転、外旋)、股外転筋力(MMT)、片脚起立時間、10m歩行時間、歩数、基本動作として腰掛け、椅子からの立ち上がり(以下、椅子立ち)、正座、座礼、床からの立ち上がり(以下、床立ち)、蹲踞、靴下着脱、足趾爪切り(以下、爪切り)、階段昇り、階段降りを調査した。基本動作は項目ごとに可能、困難、不可として能力を分類した。非術側の股関節の罹患状況については不問とした。対象の年齢は、65.1歳(SD13.2)、平均在院日数64.6日(SD26.1)、手術から入院までの期間43.6(SD14.6)、荷重プロトコルが設定された患者23例、入浴自立(大浴場)26例、自宅復帰率97%であった。統計学的手法としては、Wilcoxon signed-rank test、Spearman’s correlation coefficient by rank test、Friedman testを使用した。<BR>【結果】すべての項目において入退院時の結果比較を行ったところ、非術側の片脚起立時間以外の項目で有意な改善が認められた。退院時データを検討し、基本動作の難易度は易しい順に、腰掛け、椅子立ち、靴下着脱、階段昇降、床立ち、爪切り、正座、座礼、蹲踞の順となった。また、(股外転、股外転筋力、片脚起立時間においては術側と非術側)、(10m歩行時間と歩数)、(股関節屈曲、外旋と靴下の着脱)ではそれぞれ正の相関が認められた。さらに片脚起立時間の術側、非術側と10m歩行時間、歩数の間には負の相関が認められた。<BR>【考察】THA後の当院退院時の基本動作難易度は上記のようになったが、これを順位和ごとにクラス分けを試みたところ、(腰掛け、椅子立ち、靴下着脱)(階段昇り、降り、床立ち、爪切り)(正座、座礼、蹲踞)となった。この結果は、短時間での評価や、ADL訓練の際の指標となるものと考えられた。術側と非術側の比較においては、股外転ROM、股外転筋力、片脚起立時間に相関がみられた。これは、非術側の機能が高ければ術側も影響を受けるものと考えられた。両側THA施行例においては、先に手術を施行した側を目標にすることがあるが、この経験的に行われている指導を裏付ける結果ともなった。また、術前理学療法や日常の活動性も術後の後療法に影響を与えるものと考えられ、これらの必要性も再確認された。歩行機能では、片脚バランス、歩行スピード、歩幅に相関がみられ、筋力やROM等の単純な機能よりも複合機能の方が、関連が深いことが理解された。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2005 (0), C0378-C0378, 2006
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680539211648
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- NII Article ID
- 110004994739
- 130004579307
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- NII Book ID
- AN10146032
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed