デイサービス利用者における10m歩行速度、Timed up & go testの関連について
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【はじめに】<BR>介護保険の制度改正において新たに介護予防サービスが実施されようとしている。また、介護予防サービスのプログラムの内容として運動器の機能向上も含まれている。我々は、当院関連施設のデイサービスおいて先行的に介護予防を目的としたリハビリテーション専門職の派遣、サービスの提供を開始した。デイサービスにおいてリハビリテーションを開始するにあたり、利用者の生活機能評価を行った。各評価項目のデータは、個人の運動機能の指標として利用されるが各評価項目間の関連性およびデイサービス利用者の全体的な指標としての利用までにはいたっていない。今回、高齢者の歩行機能検査に有用とされるTimed up & go test(以下TUGT)、10m歩行速度に着目し2評価項目間の関連性について検討を行ったので報告する。<BR>【対象】<BR>当院関連施設のデイサービスを利用されている方で歩行可能な95名とした。対象者の内訳は男性18名、女性77名、平均年齢82.4±6.7歳であった。尚,本研究は当院倫理委員会の承諾を得,全ての対象者はインフォームドコンセントが得られた後実施した。<BR>【方法】<BR>計測は、デイサービス利用日とし10m歩行速度、TUGTを計測した。解析は、10m歩行速度の平均値を求め平均値を基準に遅い群・速い群に分類した。さらに、分類したそれぞれの群において同様にTUGTの平均値を求め平均値を基準にTUGT遅い群、速い群(1、10m歩行速度・TUGTいずれも速い群 2、10m歩行速度が速くTUGTの遅い群3、10m歩行速度が遅くTUGTの速い群 4、10m歩行速度・TUGTいずれも遅い群)の4群に分けた。解析は各4群において10m歩行速度、TUGTの相関の検定を行った。<BR>【結果】<BR>10m歩行速度・TUGTがいずれも速い群と10m歩行速度・TUGTがいずれも遅い群において高い相関を認めた(P<0.01)。10m歩行速度が速くTUGTの遅い群、10m歩行速度が遅くTUGTの速い群では相関は認められなかった。<BR>【考察】<BR>結果より、歩行速度の速い方は運動機能が高く、TUGTに含まれる立ち上がり動作、歩行、方向転換動作もスムースであり歩行速度との相関が認められたものと考えられる。逆に、歩行速度の遅い方は運動機能の低下によりTUGTに含まれるそれぞれの動作に時間を要し相関を認めたものと考えられる。歩行速度、TUGTのいずれか一方が速い群では相関は認められず、TUGTに含まれる歩行以外の動作である立ち上がり動作、方向転換にかかる時間にばらつきがありバランス機能や柔軟性などの影響によるものと考えられた。<BR>今後、定期的な評価を継続的に行い、デイサービス利用者のバランス機能や柔軟性などを含めた各評価項目の関連性や全体的な運動器の機能の一指標として利用できるよう研究を進めていきたい。<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), A0815-A0815, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680539253760
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- NII論文ID
- 110004995176
- 130004578893
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可