足舟状骨脱臼骨折の理学療法
書誌事項
- タイトル別名
-
- ―歩行時痛を中心に―
この論文をさがす
説明
【はじめに】<BR> 足舟状骨骨折の発生頻度は低く,脱臼骨折は稀である.今回,右足舟状骨脱臼骨折と診断された症例に対し,足底挿板療法を取り入れた理学療法を実施する機会を得たので,歩行時痛を中心に考察し報告する.<BR>【症例】<BR> 年齢14歳,女性,現病歴:平成15年6月6日リレー中に前走者の踵を踏み受傷.<BR>【経過】<BR> 当院手術目的で6月10日整形外科入院.6月12日K-wire使用し観血的整復固定術施行.術後ギプス固定.7月11日シーネ固定,外来理学療法開始.7月23日K-wire抜去.荷重はアーチサポート装着し1/4より開始.以後1週毎に増大.10月7日歩行時右足背内側部痛残存.足底挿板療法施行.平成16年3月31日PT終了.<BR>【歩行時痛残存時の理学的所見】<BR> 疼痛:歩行時右下肢踵離地時に舟状骨上部の疼痛.同部位,夜間痛.前脛骨筋・後脛骨筋運動時痛.前脛骨筋腱部圧痛.舟状骨叩打痛.ROM-T:足関節背屈右20°左25°底屈右80°左85°.踵部回外変形あり.MMTは後脛骨筋3+下腿三頭筋3,他4.歩行時footprint及び歩行分析より後足部は踵骨回外と前足部回内位で,MTP幅の短縮が示唆された.<BR>【理学療法】<BR> 1前脛骨筋・後脛骨筋収縮及びストレッチ <BR> 2足底挿板療法 <BR> 3足部内在筋・外在筋,下腿三頭筋筋力強化<BR>【足底挿板の内容及び結果】<BR> 踵部に対し外側にパッドを貼付し,踵骨の直立化を図った.舟状骨パッドは載距突起から内側楔状骨まで,内側縦アーチに沿って貼付.結果,歩行時痛消失.約3週間後外来時,裸足にて疼痛消失.<BR>【考察】<BR> 歩行時痛は1つとして,骨折部の疼痛を回避するために重心を外側に移動させた状態での歩容が,前脛骨筋,後脛骨筋のover use により痛みを出現させていたことが考えられた.2つとして,踵離地時に内側足底アーチの安定性の低下により,重心移動に伴う距骨からの力と床反力に伴う前足部から楔状骨を介した力が,受傷メカニズムに似た圧迫ストレスとして舟状骨に加わり,骨折部の疼痛として歩行時に出現したと考えた.そこで,重心軌跡の移動,足底アーチの安定性,足部内在屈筋力の増大を目的として足底挿板療法を行った結果,即時的に歩行時痛の消失が得られた.このことより足底アーチ保持に必要な足部内在屈筋・外在筋の筋力強化を実施し,約3週間後外来時,裸足においても疼痛が消失した.
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 2004 (0), C0371-C0371, 2005
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680539385088
-
- NII論文ID
- 110004016314
-
- NII書誌ID
- AN10146032
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可