体幹前屈動作が脊柱起立筋の筋活動に与える影響
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説明
【目的】体幹前屈動作は、高い確率で腰痛を引き起こすと言われるが、その原因は解明されていない。また、腰痛患者に対する評価の一手段として表面筋電計を用いた屈曲弛緩現象(Flexion Relaxation Phenomenon:以下FRP)がある。本研究の目的は体幹前屈動作時のFRP出現に関係する要因を腰痛・姿勢・体幹可動域・速度から明らかにすることである。<BR>【方法】対象は女性12名(健常群6名、腰痛群6名)である。測定動作は体幹前屈動作とし、最大屈曲までの速度は3種類遅い(2s)中等度(3s)速い(4s)とした。測定項目はFRPの有無・体幹屈曲角度・腰椎前弯角とした。FRPの有無はC7・T12・L2・L5レベルの両側脊柱起立筋を表面筋電計で測定した。安静立位時の脊柱起立筋の筋活動を基準に体幹前屈時における筋活動の変化(値)として求めた。体幹屈曲角度は三次元動作解析装置VICON370を使用し、マーカーはC7・T12・L5・肩峰・大転子・膝・外果・MPとした。体幹屈曲角度は立位時の大転子と外果を通る垂直線を基準にA (C7およびL5棘突起を通る垂直線と基準のなす角度)、B(C7およびT12棘突起を通る垂直線と基準のなす角度)、C(T12およびL5棘突起を通る垂直線と基準のなす角度)を測定した。腰椎前弯角はスパイナルマウスを使用した。統計は腰痛の有無、FRPの有無と各速度で体幹屈曲角度・前弯角・変化(値)についてt検定を行った。なお有意水準は5%とした。<BR>【結果】腰痛の有無での各体幹屈曲角度は、2s・3s・4sで有意差はなかった。腰痛の有無での前弯角は、健常群30°腰痛群26°であり有意差はなかった。腰痛有無での変化(値)は、2s・3s・4sで有意差はなかった。FRPの有無での各体幹屈曲角度は、2s・3s・4sで有意差はなかった。FRPの有無での前弯角はT12レベルが4sでFRP(+)25°FRP(-)34°と有意差があったがその他各レベル各速度で有意差がなかった。FRPの有無での変化(値)はT12レベルでL5レベルは2sでFRP(+)6とFRP(-)10、3sでFRP(+)-4とFRP(-)10、4sでFRP(+)-3とFRP(-)35と有意差がなかった。L2レベルでL5レベルは2sでFRP(+)-12とFRP(-)35、3sでFRP(+)-25とFRP(-)28、4sでFRP(+)-16とFRP(-)51と有意差があった。<BR>【考察・まとめ】体幹前屈時におけてFRPのない人は腰椎前弯が小さい傾向があると考えられる。また、前弯が強く動作速度の遅い時にT12レベルでFRPがみられない原因としてはT12が胸腰椎移行部で且つ脊柱起立筋の活動の変化が関与していると考えられる。<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), A0729-A0729, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680539599872
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- NII論文ID
- 110004995090
- 130004578807
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可