COPD患者における非侵襲的二酸化炭素計測について

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説明

【目的】<BR>換気状態を知るためには動脈血ガス分析によりPaCO2を測定しなければいけない。カプノグラフは連続的でなおかつ非侵襲的に呼気終末二酸化炭素値(ETCO2)を計測し手軽に換気状態を知ることが出来る。しかし、慢性呼吸不全患者においては計測時の呼吸パターンに影響され呼気終末二酸化炭素値(ETCO2)はPaCO2値に比べ低くなり信頼性は低いと言われている。一方経皮ガスモニターによる二酸化炭素値(TcCO2)はPaCO2値に比べやや高値を示すが慢性呼吸不全患者においても信頼のおけるものと言われている。今回、慢性呼吸不全患者に対して呼吸を工夫することによって得られる呼気終末二酸化炭素値が信頼できるものになるのか、経皮ガスモニターによる二酸化炭素値が信頼できるものかPaCO2と比べ検証する。<BR>【対象および方法】<BR>対象は慢性呼吸不全患者30名(男性28名女性2名・平均年齢73.6歳)である。方法はカプノグラフ付きパルスオキシメーター(NPB-75)を用い、安静換気時(安静時ETCO2値)と2回呼気量を意識的に多く行った時及び2回呼吸介助を行った時のどちらか高い数値を深呼出時ETCO2値として採用した。経皮的ガスモニターはTOSCAを用いて安静時TcPCO2を計測した。また、安静時における動脈血ガス分析・スパイロメーターによる呼吸機能検査も行った。動脈血ガス分析は内科医師が行った。これらの検査は患者様に説明を行い同意のもと行った。<BR>【結果および考察】<BR>安静時及び深呼出時ETCO2の値はPaCO2より低い値を示した。安静時ETCO2値とPaCO2値との関係においては1%有意水準において相関がみられるものの相関係数0.534であり臨床上問題があると思われた。深呼出時ETCO2値とPaCO2値との関係においては相関係数0.672と安静時ETCO2値より高値を示した。正常人において安静時ETCO2値と深呼出時ETCO2値の関係を調べたところ、全例深呼出時ETCO2値の方が低い値を示した。一方肺気腫例においては、30例中20例が逆に安静時ETCO2値の方が低い値を示した。しかし、肺気腫例において正常人と同じように深呼出時ETCO2値の方が低い値を示した10例においては安静時ETCO2値とPaCO2値の差が5Torr以下であり1%有意水準において相関がみられ相関係数も0.857と強い相関関係がみられた。PaCO2値と安静時ETCO2値の差が呼吸機能検査値とある一定の関係が見られるのか検討したが、相関はみられなかった。TcPCO2においては1%有意水準において相関がみられ相関係数も0.991と極めて強い相関関係がみられた。<BR>【まとめ】<BR>呼気終末二酸化炭素値には信頼がないが呼吸の工夫により参考となる例もみられた。TcPCO2においてはかなり信頼のおける数値がえられた。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005 (0), D0509-D0509, 2006

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

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