梨状筋症候群に対する運動療法の考え方とその成績

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抄録

【はじめに】梨状筋症候群とは坐骨神経の絞扼性末梢神経障害とされる一方で、その判断は画像情報による判別が困難で腰椎疾患の根症状として治療を受けている場合も多い。我々は本疾患に対し坐骨神経の除圧と滑走の改善を目的として、積極的に運動療法を施行しているのでその考え方と治療成績について報告する。<BR>【対象】平成14年4月から16年9月までに当院を受診し、最後までfollow upが可能であり、明らかな股関節疾患や、梨状筋ブロック注射のみで疼痛が消失した症例を除く85例86肢を対象とした。内訳は男性34名、女性52名、平均年齢55.6±15.1歳、羅患肢は右側40肢、左側46肢であった。<BR>【運動療法】運動療法は梨状筋を中心とした外旋筋群の筋弛緩に伴う坐骨神経の除圧、滑走性の改善を目的に実施した。外旋筋群のリラクゼーションは背臥位でのリズミカルな外旋の反復収縮を行った。梨状筋は股関節軽度内転、双子筋群は股関節内外転中間位、大腿方形筋は股関節軽度外転位として実施した。これらに、股関節屈曲、内転、内旋と膝関節屈曲、伸展の組み合わせにより坐骨神経の滑走を促した。また仙腸関節障害の合併が考えられた症例については仙腸関節を支持する多裂筋の攣縮除去、仙腸関節拘縮の改善と、ベルト固定を併用した。椎間関節障害の合併が考えられた症例に対しては該当する多裂筋の攣縮除去、椎間関節拘縮の改善を併用した。運動療法は原則として週2回実施した。<BR>【治療成績】運動療法が有効であったものは85例中73例(86%)で、その内完治したものは51例(70%)、仙腸関節の圧痛のみ残存したもの12例(16%)、下肢に軽度の痺れが残存したもの5例(7%)、軽度の腰痛が残存したもの4例(5%)、軽度の起床時痛1例(1%)であった。平均治療期間は5.8週であり、治療終了までの期間は4週以内が27例(37%)、8週以内が65例(89%)であった。運動療法が無効であったものは85例中12例で、その内7例がヘルニアの手術もしくは検査入院となった。<BR>【考察】本症例における疼痛の発現には梨状筋を中心とした外旋筋群による坐骨神経の圧迫と滑走障害がその主体を成すことを考えれば、同筋群のリラクゼーションによる除圧のもとでの関節運動に伴う神経滑走性の改善は理にかなった方法と考えられた。また仙腸関節障害、椎間関節障害を基盤として発症したと考えられる、二次的結果としての梨状筋症候群には神経の除圧、滑走の改善に加え、ケースに応じた対応が必要であると考えられた。椎間板ヘルニアとのdouble lesionが考えられ、その判別が困難な場合には、鑑別診断としての運動療法も、考慮される選択肢ではないかと考えられた。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), C0981-C0981, 2005

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680539786752
  • NII論文ID
    130005012757
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.c0981.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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