施設利用高齢者における動的バランストレーニングの効果

  • 新井 智之
    北里研究所メディカルセンター病院リハビリセンター 桜美林大学大学院老年学専攻
  • 加藤 仁志
    群馬パース大学大学保健学部理学療法学科 桜美林大学大学院老年学専攻
  • 安原 健太
    デイサービスセンター神楽坂静華庵
  • 大渕 修一
    東京都老人総合研究所介護予防緊急対策室
  • 渡辺 修一郎
    桜美林大学大学院老年学専攻
  • 柴 喜崇
    桜美林大学大学院老年学専攻 北里大学医療衛生学部
  • 柴田 博
    桜美林大学大学院老年学専攻

Bibliographic Information

Other Title
  • 歩行変動からの検討

Description

【はじめに】高齢者の転倒予防を目的とした運動介入の多くは、筋力やバランストレーニングを行っているものが多いが、それらのトレーニングが必ずしも転倒の減少に結びつかないといった報告もある.そのため筋力強化やバランス練習では本当に転倒を予防できるのかという疑問が生じる.従来の転倒予防を目的としたバランストレーニングは太極拳のように緩やかな運動やレクリエーションの要素を取り入れたものが多い.しかし,転倒が発生するのは歩行や階段昇降などの動作遂行時であるため,転倒予防のトレーニングとしては、従来に比べ、より動的な運動を多く取り入れたトレーニングを行う必要がある.そこで本研究では、介護老人保健施設およびデイケアを利用している高齢者を対象に,先行研究においてバランス能力への即時的な効果が認められたEQUBIC製のエアジョギングボードを用いた動的なバランストレーニングを12週間に渡り施行した.そのバランストレーニングの効果を、転倒と密接な関係がある歩行変動と筋力やバランスといった身体機能から検討することとした.<BR>【対象】本研究実施の了解が得られたK県H市の老人保健施設を利用する高齢者のうち,研究目的とトレーニング内容を書面及び口頭で説明し,同意を得られた者5名を対象とした.<BR>【方法】バランストレーニングはEQUBIC製のエアジョギングボードを用い、週に2回12週間行った.対象者はエアジョギングボード上で、足踏みやスクワット動作・ジャンプなどの動的な運動を行う.12週間のトレーニング期間内で、4週間ごとに運動課題の難度を上げていくこととした.<BR>トレーニングの前後で歩行変動の指標である1歩行周期時間の変動係数、バランス能力の指標として,片脚立ち時間,Functional Reach test(以下FR),Performance Oriented Mobility Assessment(以下POMA)を測定した.また移動能力の指標としてTimed Up and Go test(以下TUG),5m歩行速度を測定し,さらに筋力の指標として握力,膝伸展筋力を測定した.1歩行周期時間の変動係数の測定には加速度計を用いた.対象者は左側踵上部に加速度計を取り付けた状態で、14m の歩行路を快適速度で歩行する.歩行時の加速度データから、歩き始めと終わりの3歩を除いて1歩行周期時間を切り出した.連続する1歩行周期時間から平均,標準偏差を求め,変動係数(CV値:CV=標準偏差/平均×100)を算出した.<BR>【結果】バランストレーニングの前後で、対象者5人全員の1歩行周期時間の変動係数が減少していた.<BR>その他の運動機能評価において、対象者5人全員が改善した項目はなかった.<BR>【結論】エアジョギングボードを用いた動的なバランストレーニングは、歩行変動性を減少させる可能性が示唆された.今後対象者を増やし、その効果を検討していく必要がある.<BR>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680539804544
  • NII Article ID
    130004578851
  • DOI
    10.14900/cjpt.2005.0.a0773.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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