6分間歩行テストの再現性の検討

  • sukisaki toshitaka
    長崎大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション部
  • ohgi syouhei
    長崎大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション部
  • nejishima makoto
    長崎大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション部
  • gima hirotaka
    長崎大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション部
  • kawakita mihoko
    長崎大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション部
  • senjyu hideaki
    長崎大学医学部保健学科理学療法専攻

Description

【はじめに】6分間歩行テスト(6MWT)は高価な機器が必要でないことや測定法が容易であること、患者が受け入れ易いことなどから臨床や研究において広く用いられている。しかし、6MWTは声かけ(励まし)の有無や歩行路の長さ、測定回数などにより歩行距離に影響を及ぼすことが報告されてきた。測定方法の相違により歩行距離が変化してくることから多施設間での比較は困難であると指摘されている。これらの問題から2002年American Thoracic Society(ATS)は6MWTの測定方法を標準化したガイドラインを発表し、本邦でも2003年に作成された呼吸ハビリテーションマニュアルにおいてもこのカイドラインが用いられている。しかし、このように測定方法の標準化が行われているが、再現性などに関する報告はまだない。そこで今回われわれは、ATSにより標準化された6MWTの測定方法を用いて再現性の検討を行ったので報告する。<BR>【対象】対象は閉塞性障害を合併し、6MWTを経験したことのない肺癌手術前の患者10名(男性8名、女性2名)である。整形疾患などにより明らかに歩行に障害のある者や痴呆などにより理解力の低下が認められる者は対象から除外した。対象者は平均年齢:75.4±4.7歳、平均身長:154.0±12.1cm、平均体重:50.8±8.6Kg、平均%VC:99.4±15.8%、平均FEV1.0%:59.4±14.1%であった。<BR>【方法】ATSの基準に従い、10分間の安静後6MWTの測定を行った。歩行路は30mの直線を用い、往復歩行を行った。測定中はミノルタ社製パルスオキシメーターにより心拍数と酸素飽和度を記録し、終了時にBorgスケールにて呼吸困難感と下肢の疲労感を確認した。6MWTの測定は1週間以内に同一時刻で3回繰り返し測定した。また、すべての測定は1人の検者で行った。統計処理は3回の歩行距離の平均値の比較を分散分析及び多重比較を用いて行い、危険率5%未満をもって有意とした。また、測定値の再現性の検証には級内相関係数(ICC)を用いた。<BR>【結果と考察】6MWTの歩行距離の平均は1回目:410.1±64.6m2回目:412.1±63.6m、3回目:420.6±71.2mであり、各測定間に有意差は認められなかった。Guyyatらは3回繰り返し測定することにより歩行距離は60m変化することを報告しているが、今回の標準化された測定方法では歩行距離の変化が平均で10m未満と少なかった。また、ATSのガイドラインでは6MWTは必ずしも練習が必要でないことを報告しており、われわれの結果からもICCは0.87と再現性が高く、1回の測定で可能であることが示唆された。今回は、検者1人で行い検者内信頼性は高いことが伺えたが、今後検者間信頼性の検討も必要であると考えられた。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680539884032
  • NII Article ID
    130004578289
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.d0387.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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