急性期脳卒中リハ・クリニカルパスにおける座位・立位・歩行評価時期について

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抄録

【はじめに】 当院では2000年9月より脳卒中リハ・クリニカルパスを導入し,疾患別・重度別に座位・立位・歩行評価時期を設定している.今回,座位・立位・歩行が可能となる時期を調査し,疾患別・重度別に再検討を行ったので報告する.<BR>【対象】2001.9.1から2003.8.31までにリハ科を初診した脳卒中入院患者のうち,パス対象者は136名で,脳梗塞(以下,CI)67名(69.4±11.4歳),脳出血(以下,ICH)69名(62.5±13.2歳)を対象とした.<BR>【方法】発症より起算した座位・立位・歩行評価日,1・2・4・6・8週の座位・立位保持と45m軽介助歩行の可否,Barthel Index(以下,BI)を評価した.4週BIを基準に80点以上を軽度(以下,軽),30点以上80点未満を中等度(以下,中),30点未満を重度(以下,重)と分類した.また,座位・立位・歩行評価日は各々CIでは軽3日・3日・1週,中1週・2週・2週,重2週・3週・4週であり,ICHでは軽3日・1週・1週,中2週・2週・3週,重3週・5週・6週という設定であった.統計処理では共分散分析,t-検定,χ2-検定を用い,有意水準はp<0.05とした.<BR>【結果】CIは軽25名,中21名,重21名,ICHは軽17名,中17名,重35名であり,初診はCI5.1±3.7日,ICH5.4±3.3日であった.<BR>1.座位・立位・歩行評価時期:CIは軽5.8±3.2日・5.9±3.2日・6.4±3.4日,中6.7±2.9日・7.6±3.3日・11.3±3.9日,重11.0±5.3日・14.6±8.0日・17.2±8.1日であり,ICHは軽8.6±4.1日・9.8±5.4日・10.5±5.1日,中7.5±4.5日・10.5±4.8日・12.5±3.9日,重13.2±9.4日・16.7±10.3日・25.0±13.8日であった.CIはICHより有意に早く,重度別にみると,軽ではすべてにおいてCIはICHより有意に早かった.<BR>2.座位・立位・歩行可能の割合:座位に関しては,CIの軽は2週で100%,中は4週で100%,重は6週で76.2%,ICHの軽・中は4週で100%,重は6週で51.4%可能であった.立位に関しては,CIの軽は2週で100%,中は4週で100%,重は6週で33.3%,ICHの軽は4週で100%,中は6週で88.2%,重は6週で25.7%可能であった.歩行では,CIの軽は4週で100%,中は6週で85.7%,重は6週で23.8%,ICHの軽は4週で100%,中は6週で76.5%,重は6週で11.4%可能であった.また,CIとICHを比較すると,座位・立位の1週,歩行の1・2週でCI軽はICH軽より割合が有意に高かった.<BR>【考察】以上の結果から評価時期を,CIでは中の立位を1週,歩行を2週,重の歩行を3週とし,ICHでは中の座位を1週,歩行を2週,重の座位を2週,立位を3週,歩行を4週と早めることとした.<BR>座位・立位・歩行の可能な割合は,軽を除いてCI・ICH間に有意差はみられなかった.軽に関してはICHの評価時期の遅れが影響したものと推測した.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), B0641-B0641, 2004

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680540280064
  • NII論文ID
    130004577993
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.b0641.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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