Berg Balance Scaleと日常動作との関連

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【目的】 これまで我々は、高齢者を対象としてバランス能力の評価であるBerg Balance Scale(以下BBS)と他のバランス機能評価および運動能力との関連について分析した。今回は、高齢者のバランス能力と日常生活活動(以下ADL)の遂行能力との関連を明らかにするために、BBSと日常生活活動(以下ADL)および、日常動作(起立、歩行など)との関連を分析した。【対象・方法】 施設・老人病院に入所・入院中である70歳以上の者45名(男性13名、女性32名、平均年齢81.8±5.6歳)であった。抽出条件は、_丸1_病態・移動レベルが3ヶ月以上安定し、独歩や歩行補助具を使用し歩行可能な者、_丸2_動作時に痛みを有さない者とした。BBSは14項目について検査し、各項目は0から4点の5段階に点数化した(56点満点)。歩行時の動的バランス能力の定量的評価としてTimed up & Go Test(以下TUG)を測定した。TUGは起立、方向転換、3m往復歩行、着座の動作に要した時間(秒)を測定し、3回の平均値を算出した。下肢筋力、筋持久力、バランス能力の指標として1分間連続起立回数(以下1mSTD)を測定した。1mSTDは40cmの台からの起立、着座を1動作とした。歩行能力については10m自由・最大歩行速度を測定した。ADL評価はBarthel Index(以下BI)を用いた。統計学的解析の方法は、BBS得点と各測定項目の関連性について、それぞれの変数の分布に応じてPearsonの相関およびSpearmanの順位相関を用いた。BBS得点を目的変数とし、性、年齢、BMIおよびTUG、1mSTD、自由歩行速度、BIを説明変数とした重回帰分析を行った。また、BBS得点を45点以上と未満の2群に分けた場合のTUG、1mSTD、BIの2群間の比較検定(Mann-WhitneyのU検定、t検定)を行った。【結果・考察】BBS得点とTUG、1mSTD、BI、自由歩行速度、最大歩行速度において高い相関を認めた(それぞれp<0.01)。これは重回帰分析の結果も同様に、BBS得点とTUG、1mSTD、自由歩行速度、BIは有意な関連があった(それぞれp<0.01)。BBS得点を45点以上と未満の2群に分けて比較した結果も、高値群で有意にTUGの所要時間が短く、起立回数が多く、BI得点が高かった(それぞれp<0.01)。BBSの各測定項目とTUG、1mSTD、BI、自由・最大歩行速度との関連では、それぞれ「360°方向転換」、「台へのステップ」、「タンデム立位」の項目得点と強い有意な関連があった(p<0.01)。以上の結果からBBSとADLおよび日常動作とは強い関連があると考えられ、BBSは、ADLや日常動作と関連した運動機能評価として有用であると考えられた。

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