極超短波治療器のアプリケータタイプの相違による人工電磁場環境の比較検討

  • 川村 博文
    神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
  • 藤田 峰子
    神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
  • 鶴見 隆正
    神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • 半球形と長方形のアプリケータを用いて

説明

【目的】<BR> 厚生労働省は2002年に電磁波による医用電気機器の誤作動を防止し患者の安全性、診療の質の確保を図ることを目的とするEMC(電磁両立性)規格を法制化した。一方、電磁波が健康に障害を及ぼす可能性が取り上げられており、特に物理療法室では極超短波治療器(以下マイクロ)、超短波治療器などに囲まれているため健康管理を行う上でその環境の安全確認が必要不可欠である。本研究ではマイクロのアプリケータタイプの相違による人工電磁場環境を測定し、その環境の安全性に関する検討を行ったので報告する。<BR>【方法】<BR> マイクロ(周波数2.450MHz、出力100W)のアプリケータは半球形と長方形を用いた。半球形は本研究の趣旨に同意した被験者(健常成人男性1名)の右肩関節の直上10cmで真下向き、長方形は両肩関節の直上10cmで真下向きとなるように設置した。電磁場測定はNARDA S.T.S.社製の電磁界測定装置(測定範囲100KHzから3GHz)を用いて各アプリケータの中心部から0.5m・1m・1.5m・2m離れた位置、無放射(以下コントロール)で60秒間の測定を行い電場、磁場、電力密度を求めた。統計処理は各アプリケータ内での比較は一元配置分散分析とScheffeの多重比較検定を用い、アプリケータ間の電磁場の比較はスチューデントのt検定を用い有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】<BR> 電場(V/m)の平均は半球形がコントロール:0.1、0.5m:68.5、1m:26.5、1.5m:19.2、2m:12.5で、長方形がコントロール:0.1、0.5m:44.7、1m:27.0、1.5m:23.8、2m:20.8であった。磁場(A/m)の平均は半球形がコントロール:0.0004、0.5m:0.182、1m:0.070、1.5m:0.051、2m:0.033で、長方形がコントロール:0.0004、0.5m:0.119、1m:0.072、1.5m:0.063、2m:0.055であった。電力密度(mW/cm×cm)の平均は半球形がコントロール:0.00006、0.5m:1.246、1m:0.186、1.5m:0.098、2m:0.042で、長方形がコントロール:0.00006、0.5m:0.535、1m:0.195、1.5m:0.150、2m:0.115であった。電場、磁場、電力密度は両タイプ共に0.5mが1m、1.5m、2mより有意に多く、0.5mで半球形は長方形より有意に多く、1mでは半球形と長方形はほぼ同値であった。<BR>【考察】<BR> 半球形では0.5mでの電場68.5、磁場0.182、電力密度1.246は国際非電離放射線防護委員会による公衆での基準値(1998年)の電場61、磁場0.16、電力密度1より高値であったが1m以上離れれば全て基準値より低くなり安全な電磁場環境であった。長方形は0.5mから2mまで安全な電磁場環境であった。<BR>【まとめ】<BR>1. アプリケータタイプの相違による人工電磁場環境の測定を行い環境の安全性に関する検討を行った。<BR>2. 電場・磁場・電力密度は半球形、長方形共に0.5mが1m、1.5m、2mより有意に多かった。<BR>3. 0.5mで半球形が長方形に比べ電場、磁場、電力密度で有意に高値であった。<BR>4. 半球形は1mから、長方形は0.5mから遠位が安全な電磁場環境であった。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005 (0), F0878-F0878, 2006

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680540474624
  • NII論文ID
    130004579724
  • DOI
    10.14900/cjpt.2005.0.f0878.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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