運動機能評価と自己の主観的運動機能評価の関係性について

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  • 転倒予防教室参加へのアンケート調査から

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【目的】高齢者では実際の運動機能と自己の認識に乖離があることが報告されている。そこで、今回、転倒予防教室参加者を対象として運動機能評価に加え、体力の認知度合いを調査するために体力自己評価アンケートと日常生活活動状況に対する自信の程度を調査するための日常生活活動調査を実施した。運動機能評価とこれらアンケート結果を比較し、運動指導の方法について検討したので報告する。<BR><BR>【方法】対象は平成17年度S県S町で開催された転倒予防教室(開催期間3ヶ月、開催回数4回)に参加された女性13名(平均年齢65±5.0歳)である。方法は教室の第1回目(教室開始時)と第4回目(教室終了時)に運動機能評価の各項目についてどの程度できるか、および体力に自信があるかを選択回答式で自己評価アンケートを実施した。また、日常生活活動14項目に対する自信の程度を4択回答式で日常生活活動調査としてアンケートを実施した。アンケート記載後、運動機能評価を行った。評価項目は最大一歩幅、握力、10m歩行速度、敏捷性、ジャンプ力、座位体前屈、開眼片脚起立の8項目である。さらに、教室終了時には教室の効果とその具体的内容について無記名、記述式で調査した。これらのアンケート結果と運動機能評価結果を教室開始時と終了時で比較した。また、教室の効果とその具体的内容に関するアンケートと体力自己評価についても比較検討した。<BR><BR>【結果】最大一歩幅、握力、10m歩行速度、ジャンプ力、敏捷性、座位体前屈、開眼片脚起立の7項目で測定結果が体力自己評価よりも高い傾向がみられ、教室開始時と終了時で変化は見られなかった。日常生活活動調査では、教室開始時、終了時ともにすべての動作に自信があるとほぼ全員が回答した。自分の体力に自信があると答えた人は教室開始時5名で、終了時には9名に増加した。また、教室の効果とその具体的内容に関するアンケートでは、身体面で「体が軽くなった」「動くことが億劫でなくなった」「疲れにくくなった」などの変化が見られた。意識面では「できるだけ歩くようにしている」「運動が好きになった」「体力測定で自信を持った」などの回答が多く得られた。<BR><BR>【考察】日常生活活動調査と体力自己評価の結果から日常生活動作では自信があるのに対し、自分の体力には自信がなく自己評価が低い傾向にあった。また、教室の効果とその具体的内容に関するアンケートから運動機能評価項目について過少評価しているが自分の体力に自信があると答えた人が多く認められた。転倒予防教室で運動指導を実施していくうえで、今回の対象者のように日常生活に問題はないが体力自己評価が低い人は、明確な運動目標の設定が不十分なことが予測される。運動機能を主観的および客観的に把握する機会を持つことは、具体的な運動目標設定および運動実施の動機づけにつながるのではないかと考える。<BR><BR><BR>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680540512384
  • NII Article ID
    130004579715
  • DOI
    10.14900/cjpt.2005.0.e1184.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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