1RMを用いた運動強度と至適運動回数の設定について
書誌事項
- タイトル別名
-
- 筋の収縮特性による違い
説明
【目的】1 Repitition Maximum(1RM)を用いた運動強度の設定として、協調性の改善には1RM の40-50% 、持久力には50-60%、筋力には60%以上の強度が効果的といわれている。その際の運動回数の目安としては、運動する筋や関節に関係なく2秒/1回の往復運動として、90%が3回、80%が8回、70%が12回、60%が20回、50%が40回という報告(Kunz1990)や、90%が4回、80%が11回、70%が22回、60%が30回という報告がある(Jacobsen1992)。しかしながら、筋や関節運動が異なる場合の運動回数に関する報告はない。そこで、今回数種類の異なる筋による運動を実施し、至適運動回数の検討を行ったので報告する。<BR>【方法】対象は、実験趣旨を説明し同意を得た健常成人22名(男11・女11)で、平均年齢は27.2(22-36)歳であった。被験筋は利き手の上腕二頭筋(Bi)と上腕三頭筋(Tri)、蹴り側の前脛骨筋(TA)と大腿直筋(RF)の4筋とした。Biは背臥位・肘関節軽度屈曲位から90度屈曲まで、Triは腹臥位でベッドから前腕を自然下垂した肢位から肘完全伸展まで、TAは背臥位・膝軽度屈曲位・足趾屈曲位にて自然底屈位から内反を伴う背屈、RFは背臥位・足関節底屈位でのSLRを実施した。1RMの測定に引き続き、90・80・70・60・50%の運動強度にて、2秒/1回の往復運動速度で運動を反復し、代償運動の出現あるいは筋疲労や痛みが出た時点で終了した。各%の運動は5日以上の間隔で実施した。測定器具には、運動の負荷量[kg]を容易に変更可能なロジャーモバイルスピードプーリー(日本メディックス)を使用した。統計処理にはSPSS(ver.12)を用いて、回帰式の算出とt検定を実施した(有意水準5%)。<BR>【結果】1RMの平均値[kg]は、Bi:5.9、Tri:10.4、TA:10.5、RF:6.8であった。Y軸に回数を、X軸に1RMの%をとった二次回帰式のR2は全筋:0.68、Bi:0.84、Tri:0.80、TA:0.82、RF:0.77となり全て有意であった。各二次式に90・80・70・60・50%の値を代入した運動回数は順に、全筋:5・11・17・24・32回、Bi:5・13・22・34・49回、Tri:6・12・17・24・30回、TA:5・10・15・21・28回、RF:4・8・12・17・22回となった。また、BiとTriとの比較では、70・60・50%の回数に、TAとRFとの比較では、80・70・60・50%の回数にそれぞれ有意差があった。 <BR>【考察】全筋を対象にした1RMの各%の運動強度に対する運動回数は、先行研究と比較して若干異なる結果となったが、これは対象や実験方法の違いによるものと考える。ただし、上肢と下肢の各筋別に運動回数を比較すると、上腕二頭筋より上腕三頭筋で回数が少なく、前脛骨筋より大腿直筋で回数が少なかった。この原因としては、筋の収縮特性として、上腕二頭筋よりも上腕三頭筋に、前脛骨筋よりも大腿直筋に速筋線維が多いことが原因と考える。よって、1RMの各%の運動強度に対する運動回数を設定する際には、筋の収縮特性も考えて運動処方する必要がある。
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 2005 (0), A0584-A0584, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680540649984
-
- NII論文ID
- 130004578662
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可