Berg balance scaleと歩行能力との関連性および検査項目間の難易度について

  • 望月 久
    東京都立大塚病院リハビリテーション科

説明

【目的】Berg Balance Scale(以下BBS)は、検査項目ごとに0から4点に評定される14の検査項目からなるバランス能力の測定法である。通常は評定得点の合計点で総合的なバランス能力の指標とするが、説明性の一つとしての歩行能力との対応や検査項目間の関連性については報告が少ない。本研究では、BBSと歩行レベルとの対応、BBSの検査項目間の難易度について調査し、BBS測定の簡略化と測定結果の臨床的意味づけについて検討した。<BR>【方法】対象は種々の疾患によりバランス能力低下を示す者66名(運動失調症23名、片麻痺14名、パーキンソン症状12名、関節リウマチを含む関節疾患8名、その他9名)とした。歩行レベルは、1)ほぼ正常4名、2)屋外平地自立14名、3)屋内自立13名、4)屋内監視17名、5)平行棒内自立9名、6)平行棒内監視9名であった。歩行レベルとBBSの対応は各歩行レベルのBBS合計得点の平均値と範囲を求めた。検査項目間の難易度は、検査項目の各評定をクリアした対象者数の比率を求め、難易度関係を検討した。<BR>【結果】各歩行レベルのBBSの平均点と得点範囲は、1)ほぼ正常:56点(55~56点)、2)屋外平地自立:51点(46~56点)、3)屋内自立:43点(36~50点)、4)屋内監視:37点(28~45点)、5)平行棒内自立:29点(21~37点)、6)平行棒内監視:17点(5~28点)であった。難易度は達成度の高い検査項目から、1)支持なしの座位保持(2分間):100%、2)支持なしの立位保持(2分間):71%、3)移乗動作:65%、4)立位から座位:64%、5)閉眼立位保持:58%、6)座位から立位:56%、7)後方への振り返り:52%、8)前方へのリーチ:38%、9)床のものを拾う、および閉脚立位(1分間):33%、11)その場で360°回転:30%、12)踏み台への交互足載せ:23%、13)片足立ち(10秒間):20%、14)足を前後に交差した立位保持(30秒間):12%の順であった。<BR>【考察・まとめ】BBSはその測定尺度としての信頼性・妥当性が報告され、バランス関連の帰結評価指標として有用とされるが、測定に15分~20分程度かかる。そのため、単に総合点としてバランス能力の指標を求めるためであれば、多忙な臨床の場面ではより簡便な測定法が望まれる。BBSを得点の合計とみるのではなく、バランス的にみて一定の難易度をもつ検査項目が配置されていて、それらをスケールとして用いていると考えると、検査項目の難易度関係を利用して簡略したBBSの測定が可能になると思われる。また、歩行レベルとの対応のように、理学療法士が関心のある身体能力との対応関係が分かっていると、指標のもつ臨床的価値も高まる。今回の結果はこれらを考える上での資料になると思われる。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), A0488-A0488, 2005

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680540704768
  • NII論文ID
    130005012130
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.a0488.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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