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Abstract
【背景】<BR> 不慣れな運動後に生じる筋痛(遅発性筋痛:以下DOMS)は筋の圧痛を主な特徴とし,強度で不慣れな運動を行ってから24から72時間後にピークとなるが,安静時の痛みはほとんどない.そのメカニズムは不明だが,伸張性収縮(Eccentric Contraction:以下ECC)によって生じやすいことが知られている.今まで,DOMS時の血清生化学の変化や筋の形態学的変化は報告されているが,DOMSに特徴的な機械痛覚過敏の存在を調べた報告はない.そこで我々は,若年ラット(8週齢)にECCを負荷し,筋圧痛閾値,脊髄後角におけるc-Fos陽性細胞の発現を指標に,ラットにおいてもDOMSが生じることを示した(Taguchi T et al.(2005).J Physiol 564.1:259-268.).<BR>【目的】<BR> ヒトでは,高齢になるとDOMSの出現が遅くなったり,長引いたりすると言われている.そこで,圧痛閾値測定とc-Fos陽性細胞の脊髄後角における発現を指標に,加齢によるDOMSの変化を調べた. <BR>【方法】<BR> 130から139週齢の加齢ラットを用いた.腓骨神経の電気刺激により長指伸筋(EDL)を収縮させる間,同筋を伸張させることによってECCを負荷した.圧痛の存在を,疼痛閾値測定とc-Fos陽性細胞の脊髄後角における発現を指標に調べた.筋の疼痛閾値はRandall-Selitto式鎮痛効果測定装置を用いて測定し比較した.また,さらに行動実験で観察された圧痛のピークであるECC3日後に,EDLに圧迫刺激を行い,その2時間後にラットを灌流固定し,脊髄後角表層細胞におけるc-Fos陽性細胞の発現を調べた.<BR>【結果】<BR> Randall-Selitto法で測定した圧痛閾値は,若年ラットではECC負荷後1から3日目まで有意に低下し,2日目にもっとも強く低下した.一方,加齢ラットでは,1から5日目まで有意に低下し,3日目で最低値となった.ECC3日後(若年群では2日後)に,運動筋を圧迫刺激することによって生じるc-Fos陽性細胞の発現は,若年ラットでは脊髄L4レベルの後角表層にのみに有意に増加したが,加齢ラットでは脊髄L4に加えL5レベルの後角表層にも有意な増加が観察された.<BR>【結論】<BR> 加齢ラットでは,遅発性筋痛(DOMS)が長く続くことが明らかになった.また,加齢ラットでは筋からの痛み情報が若年ラットよりも脊髄の広いレベルに伝達されることが明らかになった.Peyronnard(1986)はEDLを支配している感覚神経の大部分がL4のDRGに位置していると報告している.加齢ラットではEDLからの感覚神経がL5へまで終枝を出すように変化しているのか,より広い範囲の脊髄後角二次ニューロンの興奮性が増大しているためか,今後の検討が必要である.<BR>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2005 (0), A0599-A0599, 2006
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details
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- CRID
- 1390282680540751872
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- NII Article ID
- 110004994960
- 130004578677
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- NII Book ID
- AN10146032
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- HANDLE
- 2237/11759
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- ISSN
- 02893770
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed