前十字靱帯再建術後におけるジョギング開始時期と膝関節可動域の調査

Description

【目的】<BR> 理学療法において日常生活動作(以下;ADL)、スポーツ動作の再獲得の課題は段階的に進められることを経験する。一例として前十字靭帯再建術(以下;ACLR)後の対象に対して、手術の様式・運動のリスクを考慮し、近年加速的まプロトコールが立案、実施されている。理学療法士は対象に合わせてプロトコールの進行を決定し、レベルアップする動作の可否を判断する。<BR> 当院では過去5年間に渡り、約400例のACLRを行ってきた。当科プロトコールではスポーツ復帰をを希望する対象に対し6ヶ月での復帰を目指しているが、8週目よりジョギング(以下;jogg)を開始することで、スポーツ復帰に向けたプログラムになっていく。そしてその評価の指標としては腫脹・疼痛・膝関節可動域(以下;ROM)・動作分析が挙げられる。<BR> 一般的に筋力測定による評価が重要視されているが、当科では対象者の身体構造や動作によるものが多い。指標とするものは数値であることが望ましいが、身体構造や動作からは評価基準が見出せないのかという疑問が生じた。そこで今回、我々が指標としている中でもROMを取り上げ、jogg開始時期とROMの獲得範囲について調査を行ったので報告する。<BR>【方法】<BR> 対象は平成10年から平成15年7月までに当院にてACL単独損傷と診断され、ACLRを施行、理学療法を行った189例である。手術施行時の平均年齢は22.0歳であった。術側は右82例、左89例であった。なお、両側施行例は4例であった。これらの対象のjogg開始時2週間前に獲得しているROMを理学療法診療録より調査した。また、jogg開始時より8から12週をA群、13週以降をB群として、群間にてROMについて比較を行った。統計学的分析にはt検定を用い、危険率を5%未満とした。<BR>【結果】<BR> 対象者全体のROM平均値は伸展-0.8°±2.5、屈曲135.5°±8.2となった。A群とB群のROMt検定で差は認められなかった。<BR>【考察】<BR> 当科ではjoggの開始を早歩きの分析から判断している。ROMからも早歩きで必要とされるROMがあればjoggも可能であると考えている。理学療法診療録よりそれまでのROMを調査し、整理してみるとjoggを開始以前に伸展-0.8度、屈曲135.3度のROMを獲得できていることが分かった。しかし、joggではこれほど多くのROMを必要としないと考える。<BR> 自動運動は、他動運動で得られるROMの範囲内で起こる。ActiveROMがPassiveROMに近づけば近づくほど相反する軟部組織の反発が大きくなり、動きを制限する。このことによりJoggに必要なROMに加え、それをスムーズに遂行するためのROMが必要となり、この結果で得たPassiveROMが参考となると考える。よってROMはjogg開始を判断する指標としてあげることができる。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680540764800
  • NII Article ID
    130004578043
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.c0044.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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