在宅での歩行評価指標の検討

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  • ―1.5mによる歩行評価の可能性について―

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【目的】在宅でのリハビリテーションでは,さまざまな環境要因により運動能力の評価は不十分な現状にある。本研究では,1.5m歩行によって歩行能力を評価することの妥当性を検討し,在宅における歩行評価としての可能性を探ることを目的とした。<BR>【方法】対象は,T病院にて理学療法を実施している入院患者40名(男性22名,女性18名,年齢70.4±12.0歳,身長155.8±10.2cm,体重51.2±7.8kg)とした。対象者の疾患内訳は,脳梗塞27名,脳出血11名(くも膜下出血2名),大腿骨頸部骨折2名であった。測定方法は,開始線につま先を揃えた立位から歩行し,一側腰部(上前腸骨棘)が1.5m,5m,10mの各ラインを通過した時点を計測した。快適速度,最大速度の順で行い,各速度での施行は1回ずつのみとした。歩行所要時間を分速に換算し,分析を行った。統計学的検討は,各速度条件において,歩行距離(1.5m,5m,10m)を要因とする一元配置分散分析を行った。また,各速度条件において,1.5m歩行速度と5m歩行速度,10m歩行速度との相関分析(ピアソンの相関係数)を行った。すべての統計学的処理において危険率は5%未満とした。<BR>【結果】快適歩行速度は,1.5m歩行速度24.4±13.5m/min,5m歩行速度26.4±14.5m/min,10m歩行速度26.1±14.9m/minであった。最大速度では,1.5m歩行速度29.8±15.6m/min,5m歩行速度33.8±18.4m/min,10m歩行速度33.8±19.5m/minであり,快適歩行,最大歩行ともに歩行距離による歩行速度の有意差は認めなかった。各速度条件における1.5m歩行速度と5m歩行速度,10m歩行速度との相関関係は,快適速度で1.5mと5m間でr=0.94,1.5mと10m間でr=0.92,最大速度で1.5mと5m間でr=0.97,1.5mと10m間でr=0.94であり,それぞれ強い正の相関を示した(p<.01)。<BR>【考察】歩行速度を1.5m,5m,10mの3つの通過時点で測定した結果,快適速度,最大速度ともに歩行距離のよる有意な差は認めなかった。一方,相関分析の結果では,快適速度,最大速度ともに1.5m歩行速度は5m歩行速度,10m歩行速度のそれぞれと有意に高い相関関係を認めた。今回の結果より,1.5mでの歩行測定は,5m歩行および10m歩行同様に歩行能力評価指標のひとつとして活用できる可能性があると考えられる。

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