ハンドヘルドダイナモメーターを用いた足関節底屈力測定の信頼性とMMTとの関連

  • 杉本 諭
    埼玉医科大学短期大学理学療法学科
  • 細井 俊希
    埼玉医科大学短期大学理学療法学科
  • 山下 美歌子
    埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科
  • 篠塚 敏雄
    介護老人保健施設鶴ヶ島ケアホームリハビリテーション課
  • 瀬戸 一秀
    介護老人保健施設鶴ヶ島ケアホームリハビリテーション課

説明

【目的】<BR>足関節底屈筋は歩行立脚後期の蹴り出しや静脈灌流の促進において重要な要因の1つである。MMTでの測定は3以上の場合は片脚立位で行うため、下肢骨折後などの荷重制限を要する時には徒手抵抗により代替している。しかしながらこの方法では概して筋力が過大評価されることが多く、かなりの抵抗に抗せていると判断しても荷重が許可された時点で片脚立位を行うと、実際には3にも満たないという場合を臨床上経験する。したがって免荷の時期に定量的に筋力を把握することは、荷重許可後の歩行能力の早期改善を視野に入れた適切な筋力強化を行うために重要であると考えられる。そこで今回我々は、ハンドヘルドダイナモメーターを用いた足関節底屈力測定器を試作し、その信頼性およびMMTとの関連について検討した。<BR>【対象】<BR>対象は埼玉県内の老人保健施設に通所中の在宅生活者78名、149脚、性別は男性18名、女性62名、平均年齢78.9歳、主疾患は脳血管障害18名、骨関節疾患30名、その他30名であった。<BR>【方法】<BR>足関節底屈力の測定はアニマ社製ハンドヘルドダイナモメーターμTas MF-01を自作の足関節固定台に取り付け、膝伸展位、足底背屈0度にて等尺性収縮力を行った。測定は30秒間の休息を入れながら片脚連続4回施行した。測定の信頼性は4回の連続測定の再現性についてICC(1,1)により分析した。検者間信頼性は同一被検者に対して2名の理学療法士が30分以上の間隔をあけて上記測定を行い、ICC(2,1)を用いて検討した。日の違いによる再現性は、1名の検者により1週間以内に再測定を行い、ICC(1,1)を用いて検討した。MMTは新徒手筋力検査法に基づいて施行した。MMTと底屈力との関連については、得られたデータの最大値を体重で除して体重に対する割合を求め、MMTの段階による違いについてクラスカルワーリス検定を用いて分析した。以上の統計的分析にはSPSSver11.5Jを使用した。なお対象者には本研究の主旨を説明し、同意を得て行った。<BR>【結果および考察】<BR>連続測定の再現性はr=0.96、検者間信頼性はr=0.96 、日の違いによる再現性はr=0.91といずれも信頼性が高かった。MMTとの関連を見ると、各段階の底屈力は2:17.2%、3:29.4%、4:37.3%,5:44.3%と段階が高くなるほど底屈力が強く、4と5以外の段階間に有意差が見られた。以上の結果より、本研究で行った足関節底屈筋力測定は、測定の信頼性が高く、またMMTとの関連も強いことから、免荷時おける底屈力の定量的な評価として有用であると考えられた。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), A0891-A0891, 2004

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541075328
  • NII論文ID
    130004577790
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.a0891.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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