関節可動域測定におけるElectric Goniometerの実用性について

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抄録

【はじめに】我々は臨床業務の効率化とEBMに根ざした正確な評価・測定を実現するシステムの一環として、デジタル表示機能を装備したElectric Goniometer(以下Eゴニオ:パール光学社製)を開発した。これまで多施設間でのデータの蓄積を行い、報告を行ってきたが、今回操作性に改良を加えた最終試作機を用い、評価・測定の正確性・再現性・業務効率の向上効果について検討を行ったので以下に報告する。<BR>【対象と方法】経験年数3年以上の理学療法士15名に木材と蝶番で製作した膝関節模型を屈曲角度76度に設定し、Eゴニオと東大式鉄製角度計(以下東大式)でそれぞれ20回測定、測定値と測定時間を比較した。測定方法はより臨床場面に近い状態で行うため、角度計は片手操作で行うことを基本とした。統計処理はPaired t-testを行い、危険率5%未満の場合に統計学的有意ありとした。<BR>【結果】測定値の平均はEゴニオ74.1±3.6度(MEAN±SD)、東大式72.4±4.3度でEゴニオの測定値は東大式よりも設定値に近くばらつきも少ない傾向にあった。測定時間の平均はEゴニオ4.8±0.5分東大式6.5±1.0分でありEゴニオの使用で有意に測定時間が短縮した。(p<0.01)<BR>【考察】実験の結果からEゴニオは従来型角度計に比して正確性において優れた傾向にあった。これはボタン操作で角度を読み取る機能により、投影及び測定対象の固定に専念できたためであると考えられた。再現性においても東大式を上回る傾向であった。これは回転中心部に備えた移動翼回転機能により片手操作で測定が容易に行えたためと考えられた。測定時間においては有意な短縮を認め業務効率の向上が示唆された。Eゴニオは測定値を記憶する機能によりメモを取る必要がないため測定時間が短縮したと考えられた。また測定値は外部出力機能によりカルテへの記録・保存も容易に行えるものと考える、加えてEゴニオは本体の液晶に測定値をデジタル表示できることから、治療場面において、患者へのフィードバックも正確かつ即座に行えるものと考える。医療の質が問われている昨今であるが今後Eゴニオの普及により評価時間の短縮・充分な治療時間の確保が考えられ、より濃密な治療アプローチの実現及び医療サービスの向上が期待される。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), A0914-A0914, 2004

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541110784
  • NII論文ID
    130004577803
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.a0914.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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